為替変動に悩まない!ステーブルコインを使った国際送金ガイド
為替変動に悩まない!ステーブルコインを使った国際送金ガイド
海外との取引が多い方にとって、国際送金は避けられないものですが、手数料や送金にかかる時間、そして何よりも為替変動による予期せぬコストやロスは、常に頭を悩ませる課題ではないでしょうか。特に、送金から受取までの間に為替レートが大きく変動すると、計画していた金額と異なってしまうリスクがあります。
このような為替変動リスクを抑えつつ、ブロックチェーン技術のメリットである手数料の削減や送金時間の短縮を実現する方法として、「ステーブルコイン」を使った国際送金が注目されています。
この記事では、ステーブルコインとは何か、なぜ国際送金に有効なのか、具体的な手順や知っておくべき注意点、リスクについて、国際送金に不慣れな方にも分かりやすく解説します。為替変動の悩みを減らし、より効率的に国際送金を行いたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ステーブルコインとは?為替変動リスクを抑える仕組み
ステーブルコイン(Stablecoin)とは、「Stable=安定した」という名の通り、価格の安定を目指して設計された暗号資産です。一般的なビットコインやイーサリアムのような暗号資産は価格変動が大きいですが、ステーブルコインは以下のような仕組みで価格の安定を図っています。
- 法定通貨ペッグ型: 米ドルや日本円などの特定の法定通貨と、概ね1対1の価値を保つように設計されています。最も主流なタイプで、発行元が法定通貨建ての準備金を保有することで価値を裏付けています。(例:USDT, USDC - 米ドルにペッグ)
- 暗号資産担保型: 他の暗号資産を担保として発行されますが、担保資産を多めに預け入れるなど、価格変動の影響を抑える仕組みが組み込まれています。
- 無担保型(アルゴリズム型): 特定のアルゴリズムに基づいて、自動的に供給量を調整することで価格を安定させようとするタイプです。
国際送金の文脈で主に利用されるのは、法定通貨ペッグ型のステーブルコイン、特に米ドルにペッグされたものです。これにより、例えば1USDCがほぼ1米ドルとして機能するため、ブロックチェーン上で米ドルをやり取りしているのに近い感覚で送金できます。これにより、送金中の為替変動リスクを大幅に抑えることができるのです。
なぜ国際送金にステーブルコインが有効なのか?
ステーブルコインを使った国際送金には、主に以下のようなメリットが考えられます。
- 為替変動リスクの大幅な軽減: これが最大の利点です。例えば、日本円を米ドルに換えて送金する場合、送金手続き中や相手が受け取るまでに円/ドルの為替レートが変動するリスクがあります。しかし、米ドルペッグのステーブルコイン(USDCなど)を使えば、送金する側も受け取る側も、ほぼ米ドルと等価のステーブルコインを扱うことになるため、法定通貨間の為替変動の影響をほとんど受けません。
- ブロックチェーンの利便性を享受: ステーブルコインはブロックチェーン上で発行・流通するため、通常のブロックチェーン送金が持つメリットも得られます。
- 比較的低い手数料: 従来の銀行送金に比べて、手数料(ネットワーク手数料など)が低く抑えられる場合があります。
- 送金速度の向上: 銀行の営業時間や休日に関係なく、24時間365日、比較的迅速に送金が完了します。(ただし、利用するブロックチェーンネットワークや送金先のサービスによります)
- 透明性の向上: ブロックチェーン上の取引履歴は公開されており、追跡が可能です。(匿名性は低い場合があります)
- 受取側の利便性: ステーブルコインは多くの暗号資産取引所やウォレットで取り扱われているため、送金された側は比較的容易に法定通貨への換金や、そのままステーブルコインとして保有・利用することが可能です。
ステーブルコインを使った国際送金の具体的な手順
ここでは一般的な手順を説明します。利用するサービス(暗号資産取引所やウォレット)によって具体的な画面操作は異なります。
- ウォレットまたは暗号資産取引所の口座開設: ステーブルコインを保管・送金・受け取るためのウォレットアプリを準備するか、ステーブルコインを取り扱っている国内外の暗号資産取引所の口座を開設します。信頼できるサービスを選ぶことが重要です。
- 日本円を入金・ステーブルコインを購入: 開設した口座に日本円を入金し、送金したい金額分のステーブルコイン(例:USDC, USDTなど)を購入します。
- 送金先のアドレスを確認: 送金先の相手に、利用するステーブルコインの種類(例:USDC)と、送金に利用するブロックチェーンネットワーク(例:Ethereumネットワーク上のERC-20、Polygonネットワークなど)を指定してもらい、そのネットワーク上でのステーブルコイン受取用アドレスを教えてもらいます。アドレス間違いは資産を失う原因となるため、正確に確認することが最も重要です。
- ステーブルコインを送金: 自分のウォレットや取引所から、確認した送金先アドレス宛てにステーブルコインを送金します。送金時にネットワーク手数料(ガス代)が必要になることが一般的です。利用するネットワークによって手数料や送金速度が異なります。
- 受取側での対応: 送金されたステーブルコインが受取側のアドレスに着金したことを確認します。受取側は、受け取ったステーブルコインをそのまま保有するか、必要に応じて取引所で法定通貨(米ドルや日本円など)に換金して利用します。
知っておくべき注意点とリスク
ステーブルコインを使った国際送金は非常に便利ですが、利用にあたってはいくつかの注意点とリスクがあります。
- 発行体の信用リスク: 法定通貨ペッグ型のステーブルコインは、その価値が発行元が保有する準備金に裏付けられています。もし発行体が破綻したり、十分な準備金を保有していなかったりする場合、ステーブルコインの価格がペッグから外れ、価値が大きく下落するリスクがあります。信頼性の高い発行体が発行する、監査などで透明性が確保されているステーブルコインを選ぶことが重要です。
- スマートコントラクトのリスク: ステーブルコインの発行や送金は、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって制御されています。スマートコントラクトに予期せぬバグや脆弱性があった場合、資産が失われるリスクがあります。
- ネットワーク手数料(ガス代): ブロックチェーン上で取引を行う際には、ネットワークを利用するための手数料が発生します。特に、利用者が多い時間帯やネットワークでは手数料が高騰することがあります。利用するネットワークによって手数料水準は大きく異なります。
- 送金先での規制や対応状況: 送金先の国や地域によっては、暗号資産やステーブルコインに関する規制が厳しく、受け取りや換金が困難な場合があります。また、送金先の相手が利用しているサービスが、送金に利用したステーブルコインやネットワークに対応していない可能性もあります。事前に送金先とよく確認する必要があります。
- 操作ミスによる損失: アドレス間違いやネットワーク選択ミスなどで、送金した資産が失われてしまうリスクがあります。一度送金してしまうと取り消しは非常に困難です。少額でテスト送金を行うなど、慎重な操作が求められます。
- サービスのセキュリティ: 利用するウォレットや取引所がハッキングされたり、秘密鍵を紛失したりすると、資産を失うリスクがあります。二段階認証の設定や、信頼できるセキュリティ対策が取られたサービスを選ぶことが重要です。
- 税金: ステーブルコインの売買や、受け取ったステーブルコインを法定通貨に換金する際には、税金が発生する可能性があります。税制は国によって異なるため、ご自身の居住国や取引内容に応じた税務上の取り扱いを確認する必要があります。
どんなステーブルコインを選べば良いか?
国際送金でステーブルコインを利用する際は、以下の点を考慮して選びましょう。
- 発行体の信頼性: 大手企業や金融機関が発行しているか、定期的に監査を受けており、準備金が公開されているかなどを確認します。USDC(Circle社とCoinbase社が設立したCentreコンソーシアム発行)、USDT(Tether社発行)などが代表的ですが、それぞれ特性やリスク評価は異なります。
- 流通量と流動性: 流通量が多く、多くの取引所で活発に取引されているステーブルコインは、換金しやすく、価格が安定しやすい傾向があります。
- 利用できるネットワーク: 目的とする送金先が利用しているサービスや、より手数料が安く高速なネットワーク(Polygon, Solanaなど)に対応しているか確認します。主要なステーブルコインは複数のネットワークに対応しています。
- 送金先の対応状況: 相手が希望する、または受け取りやすいステーブルコインやネットワークを選ぶことが最も重要です。
まとめ:ステーブルコイン国際送金を理解して活用する
ステーブルコインを使った国際送金は、特に為替変動リスクを抑えたい方にとって、非常に魅力的な選択肢となり得ます。ブロックチェーンの利便性を享受しつつ、法定通貨に近い感覚で価値をやり取りできるため、従来の国際送金における多くの課題を解決する可能性を秘めています。
一方で、発行体の信用リスクや操作ミスによる損失、利用するサービスのセキュリティなど、ブロックチェーンや暗号資産特有のリスクも存在します。
ステーブルコイン国際送金を安全かつ効果的に活用するためには、その仕組み、メリットだけでなく、注意点やリスクを十分に理解することが不可欠です。ご自身の取引内容や送金先の状況に合わせて、最適な方法を選択し、慎重に手続きを進めてください。
当サイト「ブロックチェーン送金Lab」では、今後もブロックチェーン国際送金に関する様々な情報を提供していきますので、ぜひご活用ください。