国際送金の手数料を削減!ブロックチェーンが銀行より安い理由と仕組み
国際送金は、海外にいる家族への送金や海外との取引における支払いに欠かせないものですが、その際に気になるのが手数料や為替レートです。特に頻繁に国際送金を利用される方にとって、これらのコストは大きな負担となり得ます。
近年、この国際送金に新しい選択肢として注目されているのが、ブロックチェーン技術を使った送金です。一部では「銀行送金よりも大幅に手数料が安い」と言われていますが、一体なぜブロックチェーン送金は低コストで実現できるのでしょうか?
この記事では、銀行送金の手数料が高くなる理由を掘り下げつつ、ブロックチェーン送金が手数料を安くできる仕組み、そして両者の具体的な違いについて分かりやすく解説します。国際送金の手数料を抑えたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
銀行送金の手数料がなぜ高くなるのか?その仕組み
まずは、なぜ従来の銀行を通じた国際送金の手数料が高くなりがちなのか、その仕組みを見ていきましょう。
銀行を使った国際送金では、通常、送金元銀行から受取人銀行へ資金が直接移動するわけではありません。多くの場合、複数の銀行を中継して資金が送られます。これは「コルレス銀行(Correspondent Bank)」と呼ばれる中継銀行を経由する仕組みです。
このコルレス銀行を利用する際に、それぞれの銀行で手数料が発生します。
- 送金手数料: 送金元の銀行に支払う手数料です。
- 中継手数料(コルレス手数料): 資金を中継するコルレス銀行が徴収する手数料です。経由する銀行が多いほど、この手数料がかさみます。
- 受取手数料: 受取人側の銀行が徴収する手数料です。
- 為替手数料(マージン): 送金時に通貨を換算する際に適用される為替レートには、銀行が設定する手数料(マージン)が含まれています。これが隠れたコストとして送金額から差し引かれます。
これらの手数料やマージンが積み重なることで、最終的に受取人が受け取る金額が、送金者が送った金額よりも大幅に減ってしまう、という状況が発生しやすいのです。さらに、送金にかかる時間も、複数の銀行を経由するため数日から1週間程度かかることが一般的です。
ブロックチェーン送金が手数料を安くできる理由
では、ブロックチェーン技術を使った国際送金は、なぜこれらのコストを抑えることができるのでしょうか。その主な理由は以下の通りです。
- 仲介者の排除または削減: ブロックチェーン送金では、多くの場合、従来の銀行や中継銀行といった多数の仲介者を必要としません。資金は、ブロックチェーン上で直接、または最小限のサービス提供者を介して送られます。仲介者が減ることで、彼らに支払う手数料が削減されます。
- 効率的なネットワーク: ブロックチェーンは、インターネット上の分散型台帳技術です。この技術を利用することで、資金の移動記録や取引情報が効率的に管理・共有されます。これにより、従来の手作業や複雑なシステム連携にかかるコストや時間を大幅に短縮できます。
- スマートコントラクトの活用: 一部のブロックチェーン送金サービスでは、スマートコントラクト(自動実行される契約)を利用することで、送金手続きの自動化や透明性の向上を図っています。これにより、人件費などの運営コストを削減し、手数料に反映させることが可能です。
- 競争原理と低コスト構造: 暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術を基盤とした送金サービスは、比較的安価なコスト構造で運営できるため、競争が働きやすく、それがユーザー向けの手数料低下につながっています。
もちろん、ブロックチェーン送金にも手数料(ネットワーク手数料やサービス利用料)はかかりますが、銀行送金で発生する様々な手数料の合計額と比較すると、多くの場合で安価に済む傾向があります。
銀行送金とブロックチェーン送金の手数料以外の違い
手数料の安さが魅力のブロックチェーン送金ですが、銀行送金とは手数料以外の点でも違いがあります。
| 特徴 | 銀行送金 | ブロックチェーン送金 | | :----------- | :----------------------------------------- | :----------------------------------------------- | | 速度 | 数日~1週間程度 | 数分~数時間(サービスや状況による) | | 透明性 | 送金状況の追跡が困難な場合がある | ブロックチェーン上で取引履歴を確認できる(匿名性とは異なる) | | 利用可能時間 | 銀行の営業時間、システムメンテナンスによる制約あり | 基本的に24時間365日利用可能 | | 利用方法 | 銀行窓口、ネットバンキング | ブロックチェーン送金サービス提供事業者のプラットフォーム | | リスク | 為替変動リスク、システム障害 | 為替変動リスク(暗号資産の場合)、セキュリティリスク、操作ミスリスク、規制リスク |
特に速度の面では、ブロックチェーン送金は圧倒的に早いことが多いです。フリーランスの方など、仕事の報酬を海外から迅速に受け取りたい場合などに大きなメリットとなります。また、取引の透明性が高い点も特徴と言えます。
ブロックチェーン送金を利用する際の注意点
手数料が安い、早いといったメリットがあるブロックチェーン送金ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。
- 為替変動リスク: 多くの場合、ブロックチェーン送金では暗号資産が基盤として使われます。暗号資産の価格は日々変動するため、送金時と受取時で価値が変わってしまうリスクがあります。ステーブルコインなど、価格変動が少ないように設計された暗号資産を利用するサービスもありますが、それでも完全にリスクがないわけではありません。
- セキュリティと操作ミス: ブロックチェーン送金は、ウォレット管理やアドレス入力などを自分自身で行う必要があります。アドレスを間違えると、資金が失われる可能性があり、取り戻すことは非常に困難です。また、自身のウォレットの秘密鍵などを厳重に管理する必要があります。
- 利用できるサービスと受け取り方法: ブロックチェーン送金に対応したサービスはまだ限られています。また、送金相手がブロックチェーン送金を受け取れる環境(対応ウォレットやサービス)を持っている必要があります。最終的に法定通貨として受け取る場合は、換金の手続きが必要になり、ここでも手数料や為替リスクが発生する可能性があります。
- 規制の状況: ブロックチェーンや暗号資産に関する法規制は、国や地域によって異なり、変化する可能性があります。利用するサービスの所在地や、送金先・受取先の国の規制を確認することが重要です。
これらのリスクを理解し、信頼できるサービスを選び、操作には十分注意を払うことが大切です。
まとめ:手数料削減のために、両者の特徴を理解しよう
国際送金の手数料は、従来の銀行送金では複数の仲介者を経由する仕組みなどから高くなりがちです。一方、ブロックチェーン送金は、仲介者の排除や効率的な技術によって、手数料を抑える可能性を秘めています。
手数料の安さや送金の速さは、ブロックチェーン送金の大きなメリットですが、為替変動リスクや操作リスクなど、銀行送金とは異なる注意点も存在します。
ご自身の国際送金の目的、送金頻度、送金額、そしてリスクに対する考え方を踏まえ、銀行送金とブロックチェーン送金のそれぞれの特徴を理解した上で、最適な方法を選択することが、手数料を含むコストを賢く管理する鍵となります。今後さらに多様なサービスが登場することが予想されますので、常に新しい情報に目を向け、ご自身にとって最もメリットのある方法を見つけていきましょう。