【手続きの簡単さで選ぶ】ブロックチェーン国際送金サービス比較:アカウント開設から送金完了まで
【手続きの簡単さで選ぶ】ブロックチェーン国際送金サービス比較:アカウント開設から送金完了まで
国際送金と聞くと、「手続きが煩雑」「書類が多くて面倒」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。銀行での国際送金は、確かに多くの記入項目や確認が必要になる場合があります。
ブロックチェーン技術を使った国際送金は、「より速く、より安く、そしてより簡単に」行える可能性があるとして注目されています。しかし、「簡単」と言われても、実際にどのような手順が必要なのか、本当に自分にもできるのか、不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、ブロックチェーン国際送金サービスの手続きの簡便さに焦点を当て、サービスによってどのような違いがあるのか、アカウント開設から実際に送金が完了するまでの流れを比較しながら解説します。国際送金の手続きを少しでも楽にしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
なぜブロックチェーン国際送金は「簡単」と言われることがあるのか?
ブロックチェーン技術を活用した国際送金が、従来の銀行送金と比較して簡単だとされる背景には、いくつかの理由があります。
まず、送金プロセスから多くの仲介機関(コルレス銀行など)が排除されることが挙げられます。従来の銀行送金では、複数の銀行を経由することが多く、そのたびに手続きや確認が発生し、時間と手間がかかります。ブロックチェーン送金では、送金データが直接ネットワーク上で処理されるため、この多層的なプロセスが不要になります。
また、多くのブロックチェーン送金サービスは、ユーザーインターフェース(操作画面)をシンプルかつ直感的に設計しています。これは、スマートフォンアプリやウェブサイトを通じて、誰でも簡単に操作できるように工夫されているためです。送金額、送金先アドレス、利用する暗号資産(またはステーブルコイン)などを指定すれば、比較的少ないステップで送金指示が完了します。
さらに、多くのサービスでは、一度アカウントを作成すれば、以降の送金手続きがスムーズに行えるようになっています。銀行のように送金のたびに多くの情報を繰り返し記入する必要がない場合が多いことも、手軽さを感じる要因の一つです。
ただし、「簡単」の定義は人それぞれであり、サービスによっても手続きの具体性は異なります。次に、具体的な手続きの流れを見ていきましょう。
アカウント開設から送金完了まで:主要なサービスタイプの手続き比較
ブロックチェーンを利用した国際送金サービスには、主に以下の2つのタイプがあります。
- 暗号資産取引所が提供する国際送金サービス: 暗号資産の売買や管理を行う取引所が、その機能の一部として国際送金(実際には暗号資産での送金)を提供しています。
- 送金特化型のブロックチェーン活用サービス: 国際送金を主目的として、特定のブロックチェーン技術(例: XRP Ledger, Stellarなど)を活用したサービスを提供しています。
これらのタイプによって、手続きの具体的なステップや簡便さが異なります。一般的な流れを比較してみましょう。
1. アカウント開設・本人確認(KYC/AML)
どのサービスを利用する場合でも、原則として本人確認(KYC: Know Your Customer)とマネーロンダリング防止(AML: Anti-Money Laundering)のための手続きが必要です。これは、犯罪収益移転防止のため、金融サービスには必須のプロセスです。
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暗号資産取引所:
- メールアドレスや電話番号での登録
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)の提出
- 顔写真や動画による認証(オンライン)
- 住所確認(ハガキの受け取りなど)
- 審査完了までに数日かかることがあります。
- すでに取引所で暗号資産取引をしている場合は、追加の手続きが不要な場合もあります。
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送金特化型サービス:
- メールアドレスや電話番号での登録
- 本人確認書類の提出、顔認証など(取引所と同様のステップが多い)
- サービスによっては、銀行口座との連携が必要な場合もあります。
- 取引所と同様、審査に時間がかかる場合があります。
簡便さのポイント: 本人確認の手続き自体は、どのサービスも法令遵守のため避けられません。オンラインで完結できるか、書類のアップロードが容易か、審査にかかる時間はどの程度か、などが簡便さを左右します。最近のサービスは、スマホアプリで簡単に手続きできるよう工夫されています。
2. 入金(送金資金の準備)
送金したい金額をサービスに入金する、あるいは送金に使う暗号資産を準備するステップです。
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暗号資産取引所:
- 銀行振込で日本円を入金し、その日本円で送金に使う暗号資産(例: USDT, XRP)を購入する。
- 他のウォレットから送金に使う暗号資産を直接受け取る。
- 暗号資産の購入や移動に手間がかかる場合があります。
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送金特化型サービス:
- 銀行振込でサービス指定の口座に円やドルなどを入金する。
- クレジットカードやデビットカードで入金できる場合もあります。
- サービス内で自動的に送金先の通貨に両替される仕組みになっていることが多いです。
- 送金に使う暗号資産を意識する必要がない場合が多いです。
簡便さのポイント: 銀行振込やカード入金が簡単に行えるか、暗号資産を別途準備する必要があるか、などが手続きの簡単さに関わります。送金特化型サービスの方が、一般的な国際送金の流れに近く、暗号資産の扱いに慣れていない場合はより手軽に感じられるかもしれません。
3. 送金手続きの実行
実際に送金先へ資金を送る指示を行うステップです。
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暗号資産取引所:
- 送金に使う暗号資産の種類と数量を選択。
- 送金先のウォレットアドレスを正確に入力(これが非常に重要!)。
- 場合によっては、宛先タグ(Memo/Tag)の入力も必要。
- 二段階認証などで送金指示を承認。
- アドレスの入力ミスは資金紛失に直結するため、特に慎重な確認が必要です。
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送金特化型サービス:
- 送金したい金額と通貨、送金先の国を選択。
- 受取人の情報(氏名、銀行口座情報など。サービスや国によって異なる)を入力。
- 受取方法(銀行振込、現金受け取りなど)を選択。
- 送金内容と手数料、為替レートを確認し承認。
- 受取人の情報は銀行送金に近い形式ですが、サービスによっては簡略化されています。
簡便さのポイント: 送金先情報の入力形式が分かりやすいか、必要な情報が少ないか、入力ミスを防ぐための工夫(アドレス帳機能など)があるか、などが重要です。送金特化型サービスの方が、暗号資産のアドレス入力に慣れていない方にとっては、より分かりやすいインターフェースを提供している傾向があります。
4. 送金完了・確認
送金指示が実行され、受取人が資金を受け取るまでのステップです。
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暗号資産取引所:
- 送金指示後、ブロックチェーンネットワーク上でトランザクションが承認されるのを待つ。
- 取引所の画面やブロックチェーンエクスプローラーで送金状況を確認できる。
- ネットワークの混雑状況によって完了までの時間が変動することがあります。
- 受取人への通知はサービス外で行う必要があります。
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送金特化型サービス:
- サービス内で送金状況を追跡できる機能が提供されていることが多い。
- 送金完了時に、サービスから通知が届く場合がある。
- 受取人にもサービスから通知が届く場合があります。
- 完了までの時間はサービスや送金先の国によって異なりますが、銀行送金よりは短い傾向があります。
簡便さのポイント: 送金状況がサービス内で簡単に確認できるか、進捗通知機能があるか、などが利便性を高めます。特に送金特化型サービスは、国際送金の利用者が状況を把握しやすいように配慮されています。
手続きの簡便さ以外に考慮すべき点
手続きの簡単さはサービス選びの重要な要素ですが、それだけで判断するのは避けるべきです。以下の点も合わせて検討し、総合的に判断することが大切です。
- 手数料と為替レート: 手続きが簡単でも、手数料や為替レートが不利であれば、コスト面でのメリットが薄れてしまいます。「隠れコスト」がないかなども含め、トータルコストで比較しましょう。
- 送金速度: 手続きが簡単でも、実際に送金が完了するまでに時間がかかりすぎる場合は不便です。必要な送金速度を満たせるか確認しましょう。
- 取り扱い通貨・国: 送金したい通貨や国に対応しているか確認が必要です。
- 安全性と信頼性: サービスのセキュリティ対策、運営会社の信頼性、規制遵守状況などを必ず確認しましょう。
- サポート体制: 困ったときに日本語でのサポートが受けられるかどうかも、特に初心者にとっては重要なポイントです。
- 利用上限額: 一度に送金できる金額や、一定期間に送金できる累計額に制限がある場合があります。
まとめ:自分に合ったサービスを見つけるために
ブロックチェーン技術を活用した国際送金サービスは、従来の銀行送金に比べて手続きが簡便になっているものが多いのは事実です。しかし、「簡単さ」はサービスタイプ(暗号資産取引所か送金特化型か)や個別のサービスによって異なります。
暗号資産の扱いに慣れている方や、すでに特定の取引所を利用している方は、取引所の送金機能が手軽に使える場合があります。一方、暗号資産の知識がほとんどなく、国際送金の手続きをシンプルに済ませたいという方には、送金特化型のサービスの方が分かりやすいかもしれません。
ご自身の目的、送金頻度、送金額、そして何よりも「自分がどのくらいの手続きであればストレスなく行えるか」をよく考え、複数のサービスのウェブサイトや情報を比較検討することをお勧めします。多くのサービスで、アカウント開設は無料で行えるため、実際に登録してみて操作感を試してみるのも良いでしょう。
手数料や速度といったメリットだけでなく、手続きの分かりやすさにも注目して、ご自身にとって最適なブロックチェーン国際送金サービスを見つけてください。