ブロックチェーン国際送金で使う暗号資産の種類と賢い選び方|目的別の比較と注意点
ブロックチェーン国際送金で使う暗号資産の種類と賢い選び方|目的別の比較と注意点
国際送金において、銀行を介さない新しい選択肢としてブロックチェーン技術を利用した送金サービスが注目されています。銀行送金に比べて手数料が安く、送金速度が速いといったメリットがある一方、「どんな仕組みなの?」「安全なの?」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ブロックチェーンを使った国際送金では、多くの場合、「暗号資産(仮想通貨)」が送金の中継や決済手段として利用されます。しかし、「ビットコインしか知らない」「どの暗号資産を使えばいいの?」と感じる方も少なくないでしょう。
この記事では、ブロックチェーン国際送金で主に利用される暗号資産の種類とその特徴、ご自身の目的(手数料、速度、為替リスクなど)に合わせた賢い選び方、そして利用上の注意点について、分かりやすく解説します。
ブロックチェーン国際送金で利用される主な暗号資産の種類
ブロックチェーン国際送金で利用される暗号資産は多岐にわたりますが、主に以下の種類が挙げられます。それぞれに異なる特徴があります。
1. 送金に特化した暗号資産(例:XRP、Stellar Lumens/XLMなど)
特定のプロジェクトによって開発され、国際送金を高速かつ低コストで行うことを目的とした暗号資産です。
- 特徴:
- 非常に短い時間で送金が完了することが多い。
- 手数料が非常に低い傾向にある。
- 価格変動リスクは他の主要暗号資産と同様に存在します。
これらの暗号資産は、送金サービスプロバイダーが流動性確保や国際送金ルート構築のために利用することが多く、エンドユーザーが直接これらの暗号資産を購入して送金する場合もあります。
2. 主要な基軸暗号資産(例:Bitcoin/BTC、Ethereum/ETHなど)
時価総額が高く、広く流通している暗号資産です。これらの暗号資産を直接国際送金に利用するサービスもあります。
- 特徴:
- 多くの取引所やサービスで扱われているため、流動性が高い。
- 送金速度や手数料は、送金に特化した暗号資産に比べてかかる場合がある。
- 価格変動リスクが比較的高く、送金中に資産価値が大きく変動する可能性がある。
主にこれらの暗号資産を決済手段として利用するサービスや、保有しているBTCやETHを送金したい場合に選択肢となりますが、手数料や速度、価格変動の観点からは、必ずしも国際送金に最適とは言えません。
3. ステーブルコイン(例:USDT、USDC、BUSDなど)
米ドルなどの法定通貨や金などの特定資産の価格に連動するように設計された暗号資産です。法定通貨と同じ価値を保つことを目指しています。
- 特徴:
- 価格の安定性が高い(価格変動リスクが低い)。
- 法定通貨の代わりにブロックチェーン上で価値を移動させる手段として非常に有効。
- 送金速度や手数料は、基盤となるブロックチェーン(イーサリアム、トロンなど)に依存する。
為替変動による価値の減少リスクを避けたい場合に、非常に有効な選択肢となります。特に、米ドルにペッグ(連動)したステーブルコインは、国際的な取引で広く利用されています。
目的別!ブロックチェーン国際送金で使う暗号資産の賢い選び方
どの暗号資産を選ぶかは、あなたが国際送金で最も重視することによって変わります。
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手数料と速度を最優先したい場合: 送金に特化したXRPやXLMのような暗号資産、あるいはそれらを活用している送金サービスを検討すると良いでしょう。これらは取引承認時間が短く、ネットワーク手数料も非常に低く設計されています。
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価格変動リスクを最小限に抑えたい場合: ステーブルコイン、特に送金先の国や地域で広く使われている法定通貨にペッグしたステーブルコインを選択するのが最も安全です。米ドル建ての送金であればUSDTやUSDCなどが有力な候補となります。送金中に資産価値が大きく変わる心配がほとんどありません。
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既に特定の暗号資産を保有しており、それを送金したい場合: BTCやETHなどの主要な暗号資産を直接送金することも可能ですが、前述のように手数料や速度、価格変動リスクを考慮する必要があります。少額・緊急でない送金や、受け取り側が特定の暗号資産での受け取りを希望する場合に適しています。
ご自身の送金目的や、利用する送金サービスがどの暗号資産に対応しているかを確認し、最適なものを選びましょう。
ブロックチェーン国際送金で暗号資産を利用する際の注意点
暗号資産を利用した国際送金は多くのメリットがありますが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。
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価格変動リスク: ステーブルコイン以外の暗号資産は、常に価格が変動しています。送金手続き中に価格が大きく変動し、受け取り額が変わってしまう可能性があります。特に市場が不安定な時期は注意が必要です。価格変動リスクを避けたい場合は、ステーブルコインの利用を検討してください。
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送金アドレスの入力ミス: 暗号資産の送金は、銀行口座番号のように送金先のアドレスを指定して行います。このアドレスを一つでも間違えると、資産は失われ、取り戻すことはほぼ不可能です。アドレスは正確にコピー&ペーストし、少額でテスト送金を行うなどの対策が有効です。
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利用するサービス・取引所の信頼性: 暗号資産を扱うサービスや取引所の中には、セキュリティが不十分なものや詐欺的なものも存在します。利用前に運営会社の情報、セキュリティ対策、利用者の評判などを十分に調べ、信頼できるサービスを選ぶことが非常に重要です。
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法規制と税金: 暗号資産に関する法規制や税金は、国や地域によって異なります。送金する側、受け取る側の両方で、現地の規制や税金について事前に確認しておく必要があります。特に、暗号資産の売買や送金によって利益が発生した場合は、税金の対象となる可能性があります。
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秘密鍵(プライベートキー)の管理: ご自身で暗号資産ウォレットを管理する場合、秘密鍵は資産へのアクセス権そのものです。紛失したり、他人に知られたりすると、資産を失います。厳重な管理が不可欠です。
これらの注意点を理解し、対策を講じることで、より安全にブロックチェーン国際送金を利用することができます。
まとめ
ブロックチェーン技術を使った国際送金では、様々な種類の暗号資産が利用されており、それぞれに送金速度、手数料、価格安定性といった特徴があります。
手数料と速度を重視するなら送金特化型、価格変動リスクを避けたいならステーブルコイン、といったように、ご自身の目的に合わせて最適な暗号資産を選ぶことが重要です。
ただし、暗号資産の価格変動リスク(ステーブルコイン以外)、送金アドレス入力ミスによる資産消失リスク、利用するサービス・取引所の信頼性、そして法規制や税金に関する理解は必須です。これらの注意点をしっかり把握し、対策を行うことで、ブロックチェーン国際送金の利便性を安全に享受することができます。
ご自身の国際送金の目的や頻度、受け取り側の環境などを考慮し、最適な方法と利用する暗号資産を選択してください。