ブロックチェーン国際送金で受け取った暗号資産、受け取り後の「困った」を解決!換金から税金まで解説
ブロックチェーン国際送金で受け取った暗号資産、受け取り後の「困った」を解決!換金から税金まで解説
ブロックチェーン技術を活用した国際送金は、銀行送金に比べて手数料が安く、迅速に海外からの資金を受け取れる可能性があるため、フリーランスの方々にとって魅力的な選択肢となっています。特に、海外のクライアントから報酬を暗号資産で受け取るケースも増えてきました。
しかし、「実際に暗号資産で受け取ったはいいけれど、その後の管理はどうすれば良いのだろう?」「日本円に換金するにはどうしたら良いの?」「税金はどう計算するの?」といった疑問や不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ブロックチェーン国際送金で暗号資産を受け取った後のステップに焦点を当て、安全な管理方法から日本円への換金手順、そして税金に関する基礎知識までを分かりやすく解説します。受け取った報酬を適切に管理し、次のステップに進むための情報としてお役立てください。
ブロックチェーン送金で受け取った暗号資産の管理方法
海外からブロックチェーン送金で受け取った暗号資産は、まず「ウォレット」と呼ばれるデジタルのお財布で管理することになります。ウォレットは、暗号資産の保管場所ではなく、その暗号資産にアクセスするための「鍵」を保管するものです。この鍵を安全に管理することが、資産を守る上で非常に重要です。
ウォレットにはいくつかの種類があります。
- ホットウォレット: インターネットに接続されているウォレットです。パソコンやスマートフォンのアプリ、ウェブブラウザなどで利用できます。手軽に使える反面、常にインターネットに繋がっているため、セキュリティリスクは比較的高いとされています。
- コールドウォレット: インターネットから切り離された状態で鍵を管理するウォレットです。専用のUSBデバイス型(ハードウェアウォレット)や、紙に印刷するタイプ(ペーパーウォレット)があります。ホットウォレットに比べてセキュリティは高いですが、利用には少し手間がかかります。
受け取った暗号資産の額や利用頻度に応じて、どのウォレットで管理するかを検討しましょう。少額の場合は利便性の高いホットウォレット、まとまった金額を長期保管する場合はコールドウォレットを利用するなど、使い分けることも有効です。
安全なウォレット管理のために:
- リカバリーフレーズ(シードフレーズ)は厳重に保管し、誰にも知られないようにしてください。これが漏洩すると、ウォレットの中身を失う可能性があります。
- 使用するウォレットアプリやサービスは、信頼できる提供元のものを選んでください。
- ウォレットには必ず強固なパスワードを設定し、二段階認証が利用できる場合は設定しましょう。
- フィッシング詐欺などに注意し、怪しいリンクはクリックしないようにしましょう。
受け取った暗号資産を日本円に換金する方法
海外から受け取った暗号資産を、日本の生活で使える日本円に換金するには、通常、国内の暗号資産取引所を利用します。
日本円に換金する一般的な手順は以下のようになります。
- 国内の暗号資産取引所に口座を開設する: まだ口座をお持ちでない場合は、本人確認(KYC)を経て口座を開設する必要があります。複数の取引所を比較検討し、手数料や取り扱い通貨、セキュリティ体制などを確認して選びましょう。
- 受け取った暗号資産を取引所のウォレットに送金する: 海外から直接取引所のウォレットアドレスに送金することも可能ですが、一旦ご自身のウォレットで管理してから取引所に送金する方が、送金先アドレスの確認を落ち着いて行えるため安心です。送金手数料がかかる場合があります。送金時には、送金先の取引所が対応している通貨の種類とネットワークを間違えないよう、細心の注意を払ってください。間違ったアドレスやネットワークに送金すると、資産を失う可能性が高いです。
- 取引所で暗号資産を売却する: 取引所のサイトやアプリで、送金した暗号資産を日本円で売却する注文を出します。成行注文や指値注文などがあります。売却時には取引手数料がかかります。
- 日本円を銀行口座に出金する: 売却して日本円になった残高を、事前に登録しておいたご自身の銀行口座に出金申請します。出金手数料がかかる場合があります。
換金時には暗号資産の価格が変動しているため、希望するタイミングで売却できるか、為替レートのように価格を気にする必要があります。急激な価格変動はリスクとなりうるため、換金が必要になった際に慌てないよう、事前に手順を確認しておくことが大切です。
知っておきたい税金の基礎知識
暗号資産を売却して日本円にするなど、利益が確定した場合には税金がかかる可能性があります。日本の税制において、個人の暗号資産取引による所得は、原則として「雑所得」に区分されます。
税金がかかる主なケースは以下の通りです。
- 暗号資産を売却して日本円にした場合
- 保有する暗号資産で商品やサービスを購入した場合
- 保有する暗号資産を別の暗号資産と交換した場合
- 暗号資産のマイニングやステーキングなどで報酬を得た場合
海外から暗号資産で報酬を受け取った時点では、通常、所得税は発生しません。所得税が発生するのは、その受け取った暗号資産を日本円に換金したり、他の暗号資産と交換したりして「利益が確定した時」です。
所得の計算方法には、「移動平均法」や「総平均法」などがあります。どちらの方法で計算するかは、事前に税務署に届出が必要です(届出がない場合は移動平均法が適用されます)。それぞれの方法で計算結果が異なるため、ご自身の取引状況に合わせて有利な方法を選ぶことができますが、計算は少し複雑になる場合があります。
受け取った報酬(暗号資産の取得価額)は、通常、受け取った時点での暗号資産の時価で計算されます。換金や他の暗号資産への交換を行った際の売却価額から、この取得価額や取引にかかった手数料などの必要経費を差し引いたものが所得(利益)となります。
年間の雑所得が一定額(給与所得がある方は20万円、ない方は基礎控除額など)を超えた場合は、確定申告が必要になります。
税金申告のための記録の付け方
確定申告をスムーズに行うためには、日々の取引記録を正確につけておくことが非常に重要です。
記録しておくべき主な項目は以下の通りです。
- 日付: 取引を行った日時
- 通貨: 取引した暗号資産の種類
- 数量: 取引した暗号資産の数量
- 価格: 取引時の暗号資産の価格(日本円または基準となる通貨)
- 取引内容: 購入、売却、交換、受け取り、送金など、取引の種類
- 手数料: 取引にかかった手数料
- 送金元/送金先: どのアドレスから、またはどのアドレスへ送金・受け取りしたか(識別のため)
多くの暗号資産取引所では、取引履歴をダウンロードできる機能を提供しています。これらの履歴を活用するとともに、ご自身で取引内容や金額などを管理するためのスプレッドシートなどを作成しておくと良いでしょう。複雑な取引が多い場合や、複数の取引所を利用している場合は、暗号資産の損益計算ツールなどを活用するのも有効です。
正確な記録がないと、税金計算が困難になるだけでなく、税務署からの問い合わせに対応できなくなる可能性もあります。受け取った報酬を適切に管理するためにも、日頃から記録を付ける習慣をつけましょう。
受け取りから換金・管理までの注意点まとめ
ブロックチェーン国際送金で暗号資産を受け取り、その後の管理や換金を行う際には、いくつかの注意点があります。
- 誤送金リスク: ブロックチェーン送金は一度実行されると取り消しが非常に困難です。暗号資産をウォレット間や取引所に送金する際は、送金先のアドレスを複数回確認するなど、誤送金にはくれぐれもご注意ください。
- 価格変動リスク: 暗号資産の価格は大きく変動することがあります。受け取った暗号資産を日本円に換金するタイミングによっては、想定していた金額よりも少なくなってしまう可能性もあります。換金が必要な時期を考慮し、計画的に行うことが重要です。
- セキュリティ対策の徹底: ウォレットの秘密鍵や取引所のログイン情報など、暗号資産に関する情報は厳重に管理してください。フィッシング詐欺やマルウェアなどにも注意し、常に最新のセキュリティ対策を講じましょう。
- 税金に関する情報収集と記録の重要性: 暗号資産に関する税制は変更されることもあります。税務署や税理士などの専門家の情報も参考に、ご自身で最新の情報を確認し、日々の取引記録を正確につけることを習慣にしてください。
まとめ
ブロックチェーン国際送金で海外から暗号資産の報酬を受け取ることは、手数料の削減や送金速度の向上といったメリットがありますが、受け取り後の適切な管理、日本円への換金手順の理解、そして税金に関する知識が不可欠です。
この記事で解説したように、受け取った暗号資産は安全なウォレットで管理し、換金が必要な場合は国内の信頼できる取引所を利用して、送金先アドレスなどに十分注意しながら手続きを進めましょう。また、将来的な確定申告に備え、日頃から取引履歴を正確に記録しておくことが、後々の手間や不安を軽減する鍵となります。
ブロックチェーン技術を活用した国際送金は、今後さらに普及していくと考えられます。新しい技術を上手に活用し、ご自身のビジネスや生活に役立てていくために、これらの情報を参考にしていただければ幸いです。ご自身の状況に合わせて、必要に応じて税理士などの専門家にご相談いただくこともお勧めします。