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ブロックチェーン国際送金の安心と手軽さ:カストディアルウォレットと非カストディアルウォレット、あなたに合うのは?

Tags: ブロックチェーン送金, ウォレット, カストディアル, 非カストディアル, 暗号資産, 国際送金, セキュリティ

はじめに

海外との間で報酬の受け取りや送金を行う際、銀行送金に比べて手数料が安く、迅速な対応が期待できるブロックチェーン国際送金に興味をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ブロックチェーン技術を使った送金では、銀行口座の代わりに「ウォレット」と呼ばれるものが必要になります。

このウォレットにはいくつかの種類があり、特に重要な違いとして「カストディアル型」と「非カストディアル型」という分類があります。それぞれの特徴を理解することは、安全かつ便利にブロックチェーン送金を利用するために非常に重要です。

本記事では、これら2種類のウォレットについて、その仕組み、メリット・デメリット、そしてご自身の利用目的に合った選び方について詳しく解説いたします。ブロックチェーン国際送金を利用する上での安全性や手軽さに関する疑問や不安を解消し、適切なウォレット選びのお手伝いができれば幸いです。

ブロックチェーン国際送金でなぜウォレットが必要なのか?

ブロックチェーン上で暗号資産を送金したり受け取ったりするためには、ウォレットが不可欠です。銀行のATMやインターネットバンキングのように、ウォレットはブロックチェーンネットワークへの窓口のような役割を果たします。

ウォレットは、暗号資産の所有権を示す「秘密鍵」を管理するためのツールです。秘密鍵は、あなたの暗号資産にアクセスするためのパスワードのようなものであり、これがなければ資産を使うことができません。ウォレットは、この秘密鍵を安全に保管し、送金時には秘密鍵を使って取引に署名する機能を提供します。

ウォレットの管理形態:カストディアル型と非カストディアル型

ウォレットは、その秘密鍵を誰が管理するかによって、大きく「カストディアル型」と「非カストディアル型」に分けられます。この違いが、資産の安全性や利用の手軽さに大きく関わってきます。

カストディアルウォレットとは

カストディアル(Custodial)とは「管理を任せる」という意味です。カストディアル型ウォレットでは、ウォレットの秘密鍵をサービス提供者(取引所やウォレットサービス運営会社など)が管理します。

これは、銀行に預金口座を持つ感覚に似ています。あなたは銀行口座にお金を預け、その管理は銀行に任せます。お金を引き出す際には、キャッシュカードや暗証番号、オンラインバンキングのID/パスワードなどを利用しますが、口座そのものやそこに紐づく「鍵」を自分で管理しているわけではありません。カストディアルウォレットも同様に、秘密鍵の管理はサービス側に委ねる形になります。

非カストディアルウォレットとは

非カストディアル(Non-Custodial)とは「管理を任せない」という意味です。非カストディアル型ウォレットでは、ウォレットの秘密鍵をあなた自身が管理します。

これは、自分で金庫を購入し、その鍵を厳重に保管する感覚に似ています。金庫の中身(暗号資産)にアクセスできるのは、鍵を持っているあなただけです。サービス提供者は、あなたが秘密鍵を管理するためのツール(ウォレットアプリやソフトウェアなど)を提供しますが、秘密鍵そのものにアクセスすることはできません。

カストディアルウォレットのメリット・デメリット

カストディアルウォレットは、主に取引所や一部のウェブウォレットで提供されています。

メリット:

デメリット:

非カストディアルウォレットのメリット・デメリット

非カストディアルウォレットは、MetaMaskのようなブラウザ拡張機能型ウォレットや、Ledger, Trezorのようなハードウェアウォレット、Trust Walletのようなモバイルアプリ型ウォレットなどがあります。

メリット:

デメリット:

国際送金において、どちらのタイプを選ぶべきか?

カストディアル型と非カストディアル型、それぞれに一長一短があることをご理解いただけたかと思います。どちらのタイプを選ぶかは、あなたの経験、利用目的、そして「秘密鍵の自己管理責任をどこまで負えるか」にかかっています。

カストディアルウォレットが向いている可能性のある方:

このような方は、日本の金融庁に登録されている暗号資産交換業者が提供するウォレットなど、信頼できるカストディアルウォレットから始めるのが良いかもしれません。ただし、サービス提供者リスクは常に存在することを認識しておく必要があります。

非カストディアルウォレットが向いている可能性のある方:

非カストディアルウォレットを選ぶ場合は、秘密鍵の管理が全て自己責任となるため、その重要性を十分に理解し、厳重な管理体制を構築することが絶対に必要です。リカバリーフレーズを紛失したり、第三者に知られたりしないよう、細心の注意を払ってください。

まとめ

ブロックチェーン国際送金に利用するウォレットには、秘密鍵の管理をサービスに任せる「カストディアル型」と、自分で管理する「非カストディアル型」があります。

カストディアル型は手軽で初心者向きですが、サービス提供者リスクや資産凍結リスクが存在します。一方、非カストディアル型は資産の完全なコントロールが可能ですが、秘密鍵の自己管理が必須であり、紛失や漏洩は資産の永久的な喪失に直結する重大なリスクとなります。

国際送金にウォレットを利用する際は、ご自身のブロックチェーンや暗号資産に関する知識、利用頻度、送金額、そして最も重視する点(手軽さか、資産の完全なコントロールか)を考慮し、どちらのタイプがより合っているかを慎重に判断してください。

どちらのタイプを選ぶにしても、ウォレットの提供元が信頼できるか、二段階認証などのセキュリティ対策がしっかりと行われているかなどを確認することが重要です。ブロックチェーン送金の利便性を享受するためにも、ウォレットの種類とそれぞれの責任範囲を正しく理解しておきましょう。