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【仕組み解明】ブロックチェーン国際送金の安全性・透明性の秘密は「分散型台帳」にあり!

Tags: ブロックチェーン, 国際送金, 分散型台帳, 安全性, 透明性, 手数料, 仕組み, 初心者

はじめに

海外への送金や、海外からの報酬受け取りで、「手数料が高い」「送金に時間がかかる」「今どこまで手続きが進んでいるか分かりにくい」といった不便を感じたことはありませんか?

このような国際送金の課題に対し、近年注目を集めているのが「ブロックチェーン」の技術を使った国際送金です。「ブロックチェーン国際送金は、なぜ手数料が安いと言われるの?」「なぜ速いの?」「そもそも安全なの?」など、疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

ブロックチェーン国際送金のメリットや安全性、透明性といった特徴は、その根本にある「分散型台帳」という仕組みによって支えられています。

この記事では、ブロックチェーンの核となる「分散型台帳」とはどのようなものか、そしてこの仕組みが国際送金にどのような影響をもたらし、私たちの利便性をどのように変える可能性があるのかについて、専門知識がない方にも分かりやすく解説します。

ブロックチェーン国際送金への理解を深め、利用を検討する上での判断材料にしていただければ幸いです。

従来の国際送金の課題

ブロックチェーン国際送金の話に入る前に、まずは従来の銀行などを経由する国際送金が抱える一般的な課題を確認しておきましょう。

これらの課題が、特に頻繁に国際送金を利用する方にとって、負担となっているのが現状です。

ブロックチェーンの基本的な仕組み「分散型台帳」とは?

では、ブロックチェーン国際送金がこれらの課題をどのように解決しようとしているのでしょうか?その鍵となるのが「分散型台帳」です。

「台帳」とは、簡単に言えば「取引の記録」のことです。銀行であれば、顧客の預金額や送金記録などを管理する台帳を持っています。従来の台帳は、特定の組織(銀行など)が一元的に管理する「中央集権型」でした。

一方、「分散型台帳」は、その名の通り、取引記録を特定の中心的な管理者が持つのではなく、ネットワークに参加している複数のコンピューター(ノードと呼ばれます)が分散して共有・管理する仕組みです。

ブロックチェーンの場合、この取引記録は「ブロック」という単位にまとめられ、前のブロックと暗号技術で連携させながら、時系列順に鎖(チェーン)のようにつなげて保管されます。これが「ブロックチェーン」と呼ばれる理由です。

重要なポイントは以下の点です。

この「分散型台帳」の仕組みが、ブロックチェーン国際送金に特有のメリットをもたらします。

「分散型台帳」が国際送金にもたらす具体的なメリット

分散型台帳の特性は、従来の国際送金の課題を解決し、様々なメリットを生み出します。

1. 安全性の向上

分散型台帳では、取引記録がネットワーク上の多数のコンピューターに分散して保管されており、それぞれが同じデータを持っています。もし誰かが不正に取引記録を改ざんしようとしても、ネットワーク上の他の多数のコンピューターが持つ記録と一致しないため、その改ざんはすぐに検知され、認められません。

特定の中心的な管理サーバーが存在しないため、ハッキングなどによってシステム全体が停止したり、データがまとめて盗まれたりするリスクも低減されます(ただし、ウォレットや取引所のセキュリティは別途重要です)。この仕組みは、送金記録の信頼性と安全性を高める上で非常に有効です。

2. 透明性の向上

分散型台帳に記録された取引履歴は、ネットワーク上の誰もが閲覧可能です(送金者の個人情報ではなく、暗号化されたアドレスと送金額などの情報)。これにより、送金がブロックチェーン上に記録されたか、現在どのような状態にあるかなどを、追跡しやすくなります。

従来の送金のように「今、どの銀行のどの段階にあるか分からない」といった状況が減り、送金の透明性が向上します。ただし、誰でも閲覧できるということは、プライバシーに関する考慮も必要になります。

3. コスト削減の可能性

従来の国際送金では、送金元銀行、複数の仲介銀行、受取先銀行といった多くの金融機関が関与し、それぞれが手数料を徴収します。分散型台帳を利用した送金では、このような仲介機関の役割を大幅に減らすことが可能です。

ネットワーク上の参加者が直接取引を検証・記録することで、仲介コストが削減され、結果として利用者の手数料負担を軽減できる可能性があります。ただし、ブロックチェーンネットワークを利用するための手数料(ガス代など)や、暗号資産と法定通貨を交換する際の手数料は別途発生します。

4. 送金速度の向上

分散型台帳上での取引は、特定の銀行の営業時間や休業日に左右されることなく、24時間365日処理が可能です。また、複数の仲介機関を経由する代わりに、ネットワーク上の参加者による検証と合意形成によって迅速に処理が進められます。

これにより、従来の国際送金に比べて劇的に短い時間(数分から数十分程度)で送金が完了する可能性があります。特に、国境を越えたリアルタイムに近い送金が必要な場面で大きなメリットとなります。

「分散型台帳」に起因する懸念点・リスク

分散型台帳は多くのメリットをもたらしますが、その特性ゆえに考慮すべき懸念点やリスクも存在します。

1. 取引の不可逆性

分散型台帳に一度記録され、ネットワーク上で承認された取引は、後から改ざんしたり、取り消したりすることが非常に困難です。これは改ざん耐性が高いというメリットの裏返しでもあります。

もし送金先のアドレスを間違えてしまったり、金額を誤って入力してしまったりした場合、原則として送金を取り消したり、返金を受けたりすることができません。これは、従来の銀行送金で組戻しなどの手続きが可能である点と大きく異なります。細心の注意を払って送金情報を確認する必要があります。

2. プライバシーに関する考慮

取引履歴が透明であるということは、送金に関わったアドレスや金額などの情報が公開されるということです。通常、アドレス自体から個人を特定することは難しいですが、他の情報と組み合わせることで追跡されるリスクがないとは言えません。

プライバシーを重視する場合、どのような情報が公開されるのかを理解し、サービス選びや利用方法を検討する必要があります。

3. ネットワークの状況による影響

ブロックチェーンネットワークによっては、取引量が増加したりすると、処理に時間がかかったり、手数料(ガス代)が高騰したりすることがあります。これは、ネットワークの混雑状況に影響を受けるためです。

特に利用者の多いブロックチェーンや、特定のイベント発生時には、送金速度やコストが変動する可能性があることを理解しておく必要があります。

4. 技術的な理解の必要性

分散型台帳や暗号資産、ウォレットといった従来の金融システムとは異なる概念を理解する必要があります。これは、佐藤花子様のように技術的な専門知識を持たない方にとっては、最初のハードルになるかもしれません。

サービスによっては、この技術的な複雑さを利用者が意識しなくて済むように工夫されていますが、基本的な仕組みやリスクを知っておくことは、安全に利用するために重要です。

従来のシステムとブロックチェーン(分散型台帳)の比較

| 項目 | 従来の国際送金システム(銀行など) | ブロックチェーン国際送金(分散型台帳) | | :------------- | :--------------------------------------------------- | :------------------------------------------------------------- | | 管理主体 | 中央集権型(銀行など特定の金融機関) | 分散型(ネットワーク参加者全員) | | 取引記録 | 特定の管理者が持つ内部台帳 | ネットワーク参加者全体で共有される分散型台帳(ブロックチェーン) | | 改ざん耐性 | 管理者のセキュリティに依存 | 高い(ネットワークの多数決による合意が必要) | | 透明性 | 低い(送金状況の追跡が難しい) | 高い(取引履歴が公開される) | | 仲介機関 | 複数(送金銀行、仲介銀行、受取銀行など) | 少ない、またはなし(サービスによる) | | 手数料 | 仲介機関の手数料や為替手数料がかさむことが多い | 仲介コスト削減の可能性、ただしネットワーク手数料や両替コストあり | | 送金速度 | 数日かかることも多い(営業時間、時差などによる) | 比較的速い(数分〜数十分)、24時間365日対応 | | 取引の修正 | 可能(組戻しなど、手続きによる) | 非常に困難(原則不可逆) |

この比較からわかるように、分散型台帳は従来のシステムとは根本的に異なるアプローチで国際送金を実現しており、それぞれに利点と欠点があります。

ブロックチェーン国際送金を始めるにあたっての注意点

分散型台帳の仕組みを理解した上で、実際にブロックチェーン国際送金を利用する際に特に注意すべき点を挙げます。

まとめ

ブロックチェーン国際送金が、従来の送金システムと比較して手数料や速度、透明性、安全性といった点で注目されているのは、その核となる技術「分散型台帳」の仕組みにあります。

分散型台帳は、特定の管理者が存在せず、ネットワーク全体で取引記録を共有・検証することで、データの改ざんを困難にし、透明性を高め、仲介コストを削減する可能性を秘めています。これにより、国際送金の利便性を向上させることが期待されています。

一方で、取引の不可逆性やプライバシーに関する懸念、ネットワーク状況による影響、そして技術的な理解が必要な場合があるといった点も存在します。

ブロックチェーン国際送金は、従来の送金方法に代わる有力な選択肢となり得ますが、そのメリットだけでなく、仕組みに起因するリスクや注意点も十分に理解した上で利用を検討することが大切です。ご自身の利用目的や状況に合わせて、最も適した送金方法を選択するための一助となれば幸いです。