国際送金、ブロックチェーンなら追跡できる?送金状況の確認方法を解説
国際送金を利用する際、「今、送金がどこまで進んでいるのだろう?」と状況が分からず不安に感じた経験はないでしょうか。特に、海外のクライアントからの報酬の受け取りなど、大切な資金の移動であればなおさらです。
従来の銀行送金では、送金状況の確認は銀行に問い合わせる必要があり、手間がかかることも少なくありませんでした。しかし、ブロックチェーンを使った国際送金では、この「追跡」をより手軽に行うことが可能です。
本記事では、ブロックチェーン国際送金における追跡の仕組みと、具体的な確認方法について分かりやすく解説します。送金状況を自分で把握できるようになることで、国際送金に対する不安を減らし、より安心して利用できるようになるでしょう。
ブロックチェーンが「追跡可能」な理由:透明性の仕組み
ブロックチェーン技術の大きな特徴の一つに「透明性」があります。これは、ブロックチェーン上で行われたすべての取引履歴が、ネットワークに参加している多くのコンピューターによって共有され、公開されていることに由来します。
例えるなら、銀行の取引台帳が銀行内部だけで管理されているのに対し、ブロックチェーンは誰でも閲覧可能な「公開された巨大な取引台帳」のようなものです。
この公開された取引台帳には、いつ、どのアドレスからどのアドレスへ、いくらの暗号資産が送金されたか、といった情報が記録されています。そして、これらの取引一つ一つには、「トランザクションID(TxID)」と呼ばれる固有の識別番号が付与されます。
このトランザクションIDこそが、ブロックチェーン国際送金の追跡を可能にする鍵となります。
トランザクションID(TxID)とは?
トランザクションID(TxID、またはトランザクションハッシュとも呼ばれます)は、ブロックチェーン上で行われた特定の取引(送金など)を一意に識別するための文字列です。送金が実行されると自動的に生成されます。
このTxIDを使って、ブロックチェーンの公開台帳を検索することで、その送金がブロックチェーン上でどのように処理されているかを確認できるのです。
ブロックチェーン国際送金の具体的な追跡方法
ブロックチェーン国際送金の状況を確認するには、「ブロックチェーンエクスプローラー」と呼ばれるツールを利用します。これは、ブロックチェーン上の取引履歴を検索・閲覧するためのウェブサイトです。ビットコインにはビットコインの、イーサリアムにはイーサリアムのといったように、通常は利用しているブロックチェーンの種類に対応したエクスプローラーを使用します。
追跡の手順は以下の通りです。
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送金時のトランザクションID(TxID)を確認する:
- 送金手続きを行ったサービス(暗号資産取引所、ウォレットなど)の履歴画面で、該当する送金の詳細を確認します。ここにTxIDが表示されているはずです。多くの場合、TxIDはリンクになっており、クリックすると直接エクスプローラーのページに飛ぶこともあります。
- もし表示されていなければ、サービスのマニュアルを確認するか、サポートに問い合わせてTxIDを入手してください。
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ブロックチェーンエクスプローラーにアクセスする:
- 利用している暗号資産(例:ビットコイン、イーサリアム、リップルなど)に対応したブロックチェーンエクスプローラーを探し、アクセスします。(例:Blockchain.com(ビットコイン)、Etherscan(イーサリアム)、XRPScan(リップル))
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TxIDを入力して検索する:
- エクスプローラーの検索窓に、入手したTxIDを正確に入力し、検索ボタンを押します。
これで、入力したTxIDに対応する取引の詳細情報が表示されます。
追跡することで何がわかるのか?
ブロックチェーンエクスプローラーでTxIDを検索すると、主に以下の情報が確認できます。
- 送金のステータス: 送金がまだ承認されていないのか、承認されてブロックに取り込まれたのか、といった現在の処理状況を確認できます。
- 承認数: その取引がいくつのブロックに取り込まれ、どれだけ多くのネットワーク参加者によって検証されたかを示す「承認数」を確認できます。承認数が増えるほど、その取引は確定したものとみなされます。
- 送金額: 送金された暗号資産の金額。
- 送金元アドレス・送金先アドレス: どのウォレットアドレスからどのアドレスへ送金されたか。
- 日時: 送金が実行されたおおよその日時。
- 手数料: その送金にかかった手数料。
これらの情報を見ることで、「送金手続きは確かに開始された」「ネットワーク上で処理が進んでいる」「相手のアドレスに送られているようだ」といった具体的な状況を把握できます。
ブロックチェーン送金の追跡がもたらす安心感
従来の国際送金では、一度送金手続きを終えると、多くの場合、相手に到着するまで状況が不透明になりがちです。銀行に問い合わせてもリアルタイムの情報が得られないこともあります。
一方、ブロックチェーン国際送金では、TxIDさえあれば、インターネット環境があればいつでも誰でも、送金がブロックチェーン上でどのように記録・処理されているかを確認できます。これは、以下のような安心感につながります。
- 送金状況の把握: 送金が滞っていないか、処理が進んでいるかを自分で確認できる。
- 取引の透明性: 公開された台帳に記録されているため、取引が不正に改ざんされる心配が極めて低い。
- トラブルシューティング: もし送金が遅延したり、相手に届かない場合に、ブロックチェーン上の記録を基に原因を探る手がかりになる。
特に、海外のクライアントから報酬を受け取るフリーランスの方にとっては、送金が確実に行われているかを手元で確認できることは、大きな精神的な安定剤となるでしょう。
追跡機能を使う上での注意点
ブロックチェーンの追跡機能は非常に有用ですが、いくつか注意点があります。
- 個人情報は分からない: ブロックチェーンに記録されるのは、あくまで「アドレス」間の取引です。そのアドレスが「誰のものか」といった個人情報は通常ブロックチェーン上には記録されません。そのため、TxIDから送金相手の氏名や住所を特定することはできません。
- アドレス間違いのリスク: 送金先のアドレスを間違えてしまった場合、その送金は正しい相手には届きません。ブロックチェーン上の取引は不可逆であるため、誤ったアドレスに送金してしまった暗号資産を取り戻すことは極めて困難です。TxIDで追跡しても、誤ったアドレスへの送金が確認できるだけで、問題の解決にはつながりません。送金前にアドレスを十分に確認することが何よりも重要です。
- サービスの内部処理: ブロックチェーンエクスプローラーで確認できるのは、ブロックチェーン上での処理です。利用している取引所やウォレットサービスによっては、送金申請から実際にブロックチェーン上で送金が実行されるまでに内部的な処理時間がかかる場合があります。TxIDが発行されるまでは、サービス内のステータスを確認する必要があります。
まとめ
ブロックチェーンを使った国際送金は、その透明性の高さから、送金状況を自分で追跡できるという大きな利点があります。発行されるトランザクションID(TxID)を使ってブロックチェーンエクスプローラーで検索すれば、送金がブロックチェーン上でどのように処理されているかを確認可能です。
これにより、「送金はちゃんと行われているか」「今どの段階なのか」といった不安を軽減し、より安心して国際送金を利用できるようになります。
ただし、追跡できるのはブロックチェーン上の取引情報であり、個人情報が特定されるわけではありません。また、アドレス間違いによる誤送金は追跡できても取り戻せないため、送金手続きは慎重に行う必要があります。
国際送金の透明性や状況把握に関心がある方は、ぜひブロックチェーン送金の追跡機能を活用してみてください。