【もしもに備える!】ブロックチェーン国際送金で起こりがちなトラブルと具体的な対処法
国際送金において、手数料やスピードの課題を解決する手段として、ブロックチェーン技術を活用した送金に注目が集まっています。しかし、新しい技術であるがゆえに、「もしもトラブルが起きたらどうすればいいのだろうか?」という不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
ブロックチェーン送金は、従来の銀行送金とは異なる仕組みで動くため、想定されるリスクやトラブルの種類も異なります。正しく理解し、適切な準備をしておくことで、安心して利用できるのがブロックチェーン送金です。
この記事では、ブロックチェーン国際送金で実際に起こりうる代表的なトラブル事例と、それぞれの具体的な対処法について、分かりやすく解説します。
ブロックチェーン国際送金で起こりうる代表的なトラブル事例
ブロックチェーン送金は非常に効率的ですが、技術的な特性や、利用するサービス、ユーザー自身の操作によって、いくつかのトラブルが発生する可能性があります。ここでは、特に注意しておきたい代表的なトラブル事例をいくつかご紹介します。
事例1:送金アドレスの入力間違い
これはブロックチェーン送金において、最も致命的になりうるトラブルの一つです。暗号資産を送金する際は、送金先の「アドレス」を指定します。このアドレスは、英数字の長い羅列で構成されており、たった一文字でも間違えると、全く別のアドレスに送金されてしまいます。
ブロックチェーン上での取引は基本的に不可逆(一度実行されると取り消せない)であるため、間違ったアドレスに送金してしまった場合、資金を取り戻すことはほぼ不可能です。存在しないアドレスに送金した場合は、その暗号資産は事実上消失します。
- 具体的な対処法:
- 残念ながら、原則として取り戻せません。 ブロックチェーンの特性上、中央管理者がいないため、銀行のように「組み戻し」のような手続きは存在しません。
- もし間違ったアドレスが存在するもので、かつそのアドレスの管理者を特定できたとしても、相手に返還を依頼するしか方法はなく、応じてもらえる保証はありません。
事例2:利用しているサービスのシステム障害やメンテナンス
ブロックチェーン自体は非常に堅牢ですが、ユーザーが利用する暗金資産取引所や送金サービスは、システムによって運営されています。これらのサービスがシステム障害を起こしたり、予定外のメンテナンスに入ったりすると、一時的に送金や資産のアクセスができなくなることがあります。
サービスによっては、障害が長引いたり、最悪の場合、サービス提供が困難になる可能性もゼロではありません。
- 具体的な対処法:
- まずはサービスの公式サイトや公式SNSで障害・メンテナンス情報を確認してください。状況が告知されているはずです。
- 復旧を待つ以外にできることは多くありませんが、状況によってはカスタマーサポートに問い合わせることも検討しましょう。
- 複数の送金手段を確保しておくことも有効な対策です。
事例3:暗号資産の価格変動による受取額の変動
国際送金で暗号資産を利用する場合、送金時と受取時で暗号資産の市場価格が変動するリスクがあります。例えば、送金指示をした時点では100円の価値だった暗号資産が、受取人が受け取るまでに90円に値下がりした場合、送金した数量は同じでも、受け取った金額(法定通貨換算)が減ってしまいます。
- 具体的な対処法:
- 価格変動リスクの低い暗号資産(ステーブルコインなど)を利用することを検討しましょう。ステーブルコインは米ドルなどの法定通貨と価格が連動するように設計されています。
- 送金速度の速い暗号資産を選び、送金から受け取りまでの時間を短縮することもリスク軽減につながります。
- 送金相手と事前に、どの暗号資産を使うか、価格変動リスクをどう許容するかなどを話し合っておくことも大切です。
事例4:ウォレットやアカウントのハッキング・不正アクセス
ブロックチェーン技術はセキュリティが高いとされていますが、暗号資産を管理するウォレットや、利用しているサービスのアカウント自体が不正アクセスされるリスクは存在します。フィッシング詐欺やマルウェア、管理体制の甘いサービスを利用することで、資産が盗難される可能性があります。
- 具体的な対処法:
- 信頼性の高い、セキュリティ対策がしっかりしているサービスを選ぶことが大前提です。二段階認証やマルチシグに対応しているか確認しましょう。
- パスワードは複雑なものを設定し、使い回さないようにしてください。
- フィッシング詐欺に注意し、不審なメールやリンクは開かない、公式以外の場所で情報を入力しないといった基本的なセキュリティ対策を徹底しましょう。
- 大量の資産を保有する場合は、インターネットから切り離して保管するハードウェアウォレットの利用も検討してください。
事例5:規制変更や法改正による影響
暗号資産やブロックチェーン技術に関する法規制は、世界的にまだ発展途上であり、頻繁に変更される可能性があります。突然の規制強化や法改正により、利用しているサービスが特定の国でのサービス提供を停止したり、送金に制限がかかったりする可能性があります。
- 具体的な対処法:
- 利用しているサービスの利用規約や重要なお知らせをこまめに確認しましょう。
- 暗号資産や国際送金に関する国内外の規制動向に関心を持つことも重要です。
- 特定のサービスに依存しすぎず、必要に応じて複数の選択肢を検討できるようにしておくと良いでしょう。
事例6:ネットワークの混雑による送金遅延
ブロックチェーンネットワークは、取引量が増加すると処理が追いつかなくなり、送金完了までに時間がかかることがあります。特に利用者が多い時間帯や、市場が大きく動いている時などに発生しやすいです。
- 具体的な対処法:
- 利用する暗号資産のネットワークの状態(混雑具合)を確認してから送金する。多くのブロックチェーンエクスプローラーサイトで確認できます。
- サービスによっては、手数料(Gas Feeなど)を調整することで、送金処理の優先度を上げられる場合があります(手数料が高くなります)。
- 緊急でない送金であれば、混雑が解消されるのを待つことも選択肢です。
トラブルを未然に防ぐための予防策
トラブルが起きた際の対処法を知っておくことも重要ですが、それ以上にトラブルを未然に防ぐための予防策を講じることが、安全なブロックチェーン送金のために最も大切です。
- 信頼できるサービスを選ぶ: 金融庁に登録されている国内の暗号資産交換業者や、国際的に実績があり評判の良い送金サービスを選びましょう。セキュリティ対策、サポート体制、利用規約などをしっかり確認してください。
- 送金前の二重三重チェック: 送金アドレス、送金する暗号資産の種類、数量、ネットワークは、必ず複数回確認しましょう。可能であれば、少額でテスト送金を行ってから本送金するのも有効な方法です。
- セキュリティ対策の徹底: サービスの二段階認証は必ず設定してください。パスワードは使い回さず、推測されにくいものに設定します。パソコンやスマートフォンも常に最新の状態に保ち、セキュリティソフトを導入しましょう。
- 秘密鍵やパスワードの厳重な管理: ウォレットの秘密鍵や、サービスのアカウント情報は、絶対に他人に教えず、オフラインで安全に保管しましょう。
- 最新情報の収集: 利用しているサービスからの通知や、暗号資産・国際送金に関するニュース、規制動向に関心を持ち、常に最新の情報を得るように心がけましょう。
トラブル発生時の基本的な心構え
万が一、トラブルに遭遇してしまった場合は、慌てずに落ち着いて行動することが重要です。
- 状況の正確な把握: 何が起きたのか(送金が完了しない、ログインできない、身に覚えのない取引があるなど)を正確に把握します。
- 証拠の記録: エラー画面、送金履歴、サービスからの通知など、状況を示す証拠をスクリーンショットなどで保存しておきます。
- サービスのサポートへの連絡: 利用しているサービスのカスタマーサポートに、状況と記録した証拠を添えて問い合わせてください。
- 冷静な対応: サポートからの指示に従い、焦らず対応しましょう。
まとめ
ブロックチェーン国際送金は、手数料の削減や送金速度の向上といった大きなメリットがありますが、その一方で、アドレス間違いによる資金消失リスクや、サービス側の問題、セキュリティリスクなど、注意すべき点も存在します。
しかし、これらのリスクやトラブル事例を事前に理解し、信頼できるサービスを選び、送金前の確認を怠らず、ご自身のセキュリティ対策を徹底することで、リスクを最小限に抑え、安心してブロックチェーン国際送金を利用することができます。
「ブロックチェーン送金Lab」では、ブロックチェーン国際送金に関する様々な情報を分かりやすく解説しています。ぜひ他の記事も参考にしていただき、ブロックチェーン送金を安全に活用していただければ幸いです。