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国際送金の手続き、銀行とブロックチェーンはどう違う?実際の流れと注意点

Tags: 国際送金, ブロックチェーン, 手続き, 銀行送金, 比較, 注意点

国際送金は、ビジネスや個人的なやり取りで避けて通れない場面があります。銀行を利用した国際送金の手続きは、煩雑で時間もかかるイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。近年注目されているブロックチェーン技術を使った国際送金は、「簡単・スピーディー」と言われることがありますが、実際の手続きはどのように違うのでしょうか。

この記事では、銀行送金とブロックチェーン送金の手続きの具体的な流れや、必要となる情報、それぞれの注意点について詳しく比較解説します。ご自身の状況に合わせて、どちらの国際送金方法がより適しているかを判断する上での参考にしていただければ幸いです。

銀行送金の手続きの一般的な流れと大変な点

まず、私たちが普段慣れ親しんでいる銀行を使った国際送金の手続きについて見ていきましょう。銀行によって若干の違いはありますが、一般的な流れは以下のようになります。

  1. 送金方法の選択: 銀行の窓口またはインターネットバンキングのいずれかを選択します。
  2. 必要情報の準備: 送金相手や送金内容に関する多くの情報を準備する必要があります。主なものは以下の通りです。
    • 送金相手の氏名(フルネーム)
    • 送金相手の住所
    • 送金相手の銀行名
    • 送金相手の支店名
    • 送金相手の口座番号
    • SWIFTコード(BICコードとも呼ばれます)またはIBANコード(欧州など)
    • 送金目的(例: 生活費、商品購入代金など)
    • 送金金額
    • 送金元情報(自分の氏名、住所など)
    • 場合によっては、マイナンバーや本人確認書類
  3. 送金依頼の実施: 準備した情報を元に、窓口の担当者に伝えるか、インターネットバンキングの画面で入力します。
  4. 本人確認: 法律に基づき、厳格な本人確認が行われます。
  5. 手数料の支払い: 送金手数料や為替手数料、その他関連手数料を支払います。
  6. 手続き完了: 銀行での手続きは完了ですが、実際に相手の口座に着金するまでには時間がかかります。

銀行送金の手続きで大変だと感じやすい点:

ブロックチェーン送金の手続きの一般的な流れ

次に、ブロックチェーン技術を使った国際送金の手続きを見てみましょう。ブロックチェーン送金の場合、主に暗号資産(仮想通貨)を送金することで、価値を国境を越えて移動させます。ユーザーが利用する際には、暗号資産交換業者やブロックチェーン技術を活用した送金サービスを利用することが一般的です。

ここでは、ユーザーフレンドリーなブロックチェーン送金サービスを利用する場合の一般的な流れを説明します。

  1. サービスの選択と登録: ブロックチェーン送金に対応したサービス(暗号資産交換業者や専用の送金サービスなど)を選択し、アカウントを作成します。
  2. 本人確認(KYC/AML): 多くの信頼できるサービスでは、利用開始前に厳格な本人確認(KYC: Know Your Customer)および反マネーロンダリング(AML: Anti-Money Laundering)手続きが必要です。運転免許証やパスポートなどの本人確認書類の提出が求められます。これは銀行と同様、法令遵守のために不可欠なステップです。
  3. 送金資金の準備:
    • 日本円を入金し、送金したい暗号資産(例: リップル/XRP, ステラ/XLM, ステーブルコインなど)に交換する。
    • 既に保有している暗号資産をサービスのアカウントに入庫する。
    • 利用するサービスによっては、法定通貨(日本円など)で依頼し、受取人が法定通貨で受け取れる仕組みを提供している場合もあります。
  4. 送金情報の入力: 送金相手に関する情報を入力します。
    • 最も重要な情報:送金先のアドレス
    • 送金する暗号資産の種類と数量
    • サービスによっては、送金相手の氏名や受け取り方法(法定通貨か暗号資産か)
  5. 送金実行: 入力情報を確認し、送金を承認します。通常、二段階認証などが求められます。
  6. 送金完了: ブロックチェーン上で取引が承認されると、相手のアドレスに暗号資産が着金します。多くのブロックチェーンは銀行システムよりも承認が速いため、短時間での着金が期待できます。

ブロックチェーン送金の手続きにおける簡便な点:

銀行送金とブロックチェーン送金の手続き比較

両者の手続きを項目別に比較してみましょう。

| 比較項目 | 銀行送金 | ブロックチェーン送金(サービス利用) | | :--------------- | :--------------------------------------- | :---------------------------------------------- | | 主な必要情報 | 送金相手氏名・住所、銀行名・支店名、口座番号、SWIFT/IBANコード、送金目的など | 送金先アドレス、送金する暗号資産の種類・数量(サービスによる) | | 手続き場所 | 銀行窓口、インターネットバンキング | オンライン(Webサイト、アプリ) | | 手続きできる時間 | 窓口:営業時間内、ネット:24時間(システムメンテ除く) | 基本的に24時間365日 | | 手続きの複雑さ | 多様な入力項目、専門用語がある場合も | 比較的シンプル、アドレス入力が重要 | | 本人確認 | 口座開設時、高額送金時などで行う | 利用開始時に厳格に行う場合が多い | | 着金までの時間 | 数時間〜数日(中継銀行、営業時間の影響) | 数分〜数時間(ネットワーク混雑、サービスの処理速度による) | | 入力ミスの場合 | 組戻し手続き(時間と手数料がかかる) | 基本的に取り消し不可 |

ブロックチェーン送金の手続きにおける注意点

ブロックチェーン送金の手続きは簡便な側面がありますが、銀行送金にはない特有の注意点があります。

  1. 送金先アドレスの正確性: ブロックチェーン送金では、送金先を「アドレス」という文字列で指定します。このアドレスを一文字でも間違えると、送金した暗号資産は消失し、基本的に取り戻すことはできません。銀行送金のように組戻し手続きは不可能です。コピー&ペースト機能などを活用し、複数回チェックするなど、厳重な確認が必要です。
  2. ネットワーク手数料(ガス代): ブロックチェーン上で取引を行う際に「ネットワーク手数料」または「ガス代」と呼ばれる手数料がかかる場合があります。これはサービス手数料とは別に、ブロックチェーンネットワーク自体に支払われるものです。ネットワークの混雑状況によって変動することがあり、送金スピードにも影響を与えることがあります。多くのサービスでは、この手数料も含まれた形で提示されます。
  3. 暗号資産の価格変動リスク: 送金に使う暗号資産自体の価格が変動するリスクがあります。送金指示を出してから相手に着金するまでの間に価格が大きく変動すると、想定していた金額と受取額に差が出る可能性があります。価格変動リスクを避けたい場合は、価格が安定するように設計されたステーブルコインを利用するなどの対策が有効です。
  4. サービスの信頼性とセキュリティ: 利用するサービス(暗号資産交換業者など)自体の信頼性やセキュリティ対策も重要です。過去にはサービスからの情報漏洩や不正流出などの事例もあります。信頼できる、金融庁に登録されている業者を選ぶことが重要です。

どちらの手続きを選ぶべきか?

手続きの観点から見ると、ブロックチェーン送金は必要情報が少なく、オンラインで完結しやすいため、手続き自体は銀行送金よりシンプルに感じられることが多いでしょう。特に、頻繁に少額の送金を行う場合や、相手のアドレスさえ分かれば手続きを進められる点は大きな利点です。

一方、銀行送金は手続きに手間がかかる反面、窓口でのサポートがあったり、送金ミスの際に組戻しの可能性があったりと、人手による確認やサポートがある点は安心材料となり得ます。また、相手が暗号資産の受け取りに対応していない場合は、銀行送金を選択せざるを得ません。

ご自身のITリテラシー、送金相手の環境、送金の頻度や金額、そして最も重視する点(手続きの簡便さか、手厚いサポートかなど)を考慮して選択することが大切です。

まとめ

国際送金の手続きは、銀行とブロックチェーン送金で大きく異なります。

ブロックチェーン送金は手続きの簡便さで注目されていますが、アドレス確認の徹底や利用するサービスの選定など、新しい技術ならではの注意点を理解しておくことが非常に重要です。手数料や速度だけでなく、手続きの面からも両者を比較し、ご自身に合った方法を選択してください。「ブロックチェーン送金Lab」では、安全性やリスク、サービス選びなど、ブロックチェーン送金に関する様々な情報を発信していますので、他の記事も合わせて参考にしていただければ幸いです。