ブロックチェーン送金Lab

ブロックチェーン国際送金で受け取った報酬の税金はどうなる?知っておくべき基礎知識と注意点

Tags: ブロックチェーン送金, 税金, 国際送金, 確定申告, 暗号資産

はじめに

海外とのやり取りが多いフリーランスの方にとって、国際送金は避けて通れないテーマです。ブロックチェーン技術を活用した国際送金は、手数料の削減や送金スピードの向上といったメリットから注目を集めていますが、「ブロックチェーンで受け取った報酬にかかる税金はどうなるのだろうか?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、ブロックチェーン国際送金で受け取った報酬の税務上の基本的な考え方と、特に注意すべき点について分かりやすく解説します。

ブロックチェーン国際送金で受け取った報酬の税務上の位置づけ

海外のクライアントからブロックチェーン国際送金を通じて報酬を受け取った場合、その報酬は日本国内で得た所得と同様に、税金の対象となります。

収入の種類

フリーランスの方が業務の対価として受け取った報酬であれば、原則として「事業所得」または「雑所得」に区分されます。これは、ブロックチェーン送金を利用したかどうかに関わらず、所得の性質によって決まります。

日本円への換算

多くの場合、ブロックチェーン送金ではビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)で送金されるか、あるいは送金途中で暗号資産が利用されます。最終的に受け取り側で日本円に換金する場合、税務上の所得金額を計算するためには、受け取った暗号資産の価値を日本円に換算する必要があります。

換算のタイミングとしては、原則として「報酬を受け取った時点」での日本円での時価を用いることになります。送金されてウォレットに着金した日時や、日本円に換金した日時などが関連してきますが、税務上の明確なルールに基づき、適切なレートで計算することが重要です。

税金計算の基本的な流れ

海外からの報酬に限らず、所得税や住民税は1年間の所得に対して計算されます。

  1. 所得の確定: 1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得を合計します。ブロックチェーン送金で受け取った報酬もこの所得に含まれます。
  2. 必要経費の計上: 事業を行う上でかかった費用(通信費、資料代など)を必要経費として差し引きます。
  3. 所得金額の計算: 総収入金額から必要経費を差し引いて、所得金額を計算します。
  4. 所得控除: 基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除など、個人的な事情に応じた各種控除を差し引きます。
  5. 課税所得金額の計算: 所得金額から所得控除を差し引いた金額が課税所得金額となります。
  6. 税額の計算: 課税所得金額に対して、所得税率をかけて所得税額を計算します。住民税も同様に計算されます。
  7. 確定申告・納税: 翌年の2月16日から3月15日までの間に、税務署に対して確定申告を行い、所得税を納めます。住民税は確定申告に基づいて市区町村から通知されます。

ブロックチェーン送金(暗号資産)で受け取った場合の特有の注意点

ブロックチェーン送金で暗号資産を受け取った場合、従来の銀行送金とは異なる注意点があります。

暗号資産の取得価額の計算

暗号資産で報酬を受け取った場合、その報酬の額は「受け取った時点の暗号資産の時価(日本円換算)」となります。

しかし、その後その暗号資産を売却したり、別の暗号資産と交換したりした場合、原則として所得(「雑所得」に区分されることが多いです)が発生し、これも課税対象となります。この際の所得金額を計算するには、「売却・交換時の暗号資産の時価」から「取得価額」を差し引く必要があります。

報酬として受け取った暗号資産の取得価額は、「報酬を受け取った時点の時価」となります。この取得価額の管理が、その後の取引の損益計算において非常に重要になります。複数の時点やレートで暗号資産を受け取っている場合は、「総平均法」や「移動平均法」といった計算方法を用いて取得価額を算出する必要があります。

確定申告の手間

暗号資産の取引(売却、交換、支払いなど)は、原則として取引の都度、損益を計算し、確定申告に含める必要があります。ブロックチェーン国際送金で報酬として暗号資産を受け取った場合も、それが一つの取得の機会として記録・管理され、その後の取引に影響します。

複数の暗号資産や取引所で頻繁に取引を行っている場合、損益計算が非常に複雑になる可能性があります。後述する取引履歴の管理が不可欠です。

取引履歴の重要性

税務調査などが入った場合、所得の計算根拠を示すために、全ての暗号資産取引の履歴(いつ、いくらで、何を、どれだけ取引したか)の提示を求められる可能性があります。ブロックチェーン送金で報酬を受け取った記録はもちろんのこと、その後の暗号資産に関するあらゆる取引履歴を正確に保管しておくことが極めて重要です。

利用している取引所やサービスによっては、取引履歴をダウンロードする機能があります。こうした機能を活用し、定期的にデータをバックアップしておくことをお勧めします。

他の送金方法との税務上の違いは?

ブロックチェーン送金を利用して海外から報酬を受け取った場合と、従来の銀行送金やPayPalなどのサービスを利用した場合とで、税務上の基本的な考え方(事業所得または雑所得として申告が必要であること)に大きな違いはありません。

ただし、銀行送金では通常、受け取った通貨を銀行が自動的に日本円に換算して入金するため、日本円での受取額が明確です。これに対し、暗号資産で受け取るブロックチェーン送金の場合、前述のように「受け取った時点での日本円換算」「その後の暗号資産の取引による損益計算」という、暗号資産特有の計算と管理が必要になる点が異なります。

具体的な税金対策と準備

税理士への相談も検討しましょう

暗号資産に関する税務は比較的新しい分野であり、計算方法なども複雑です。ご自身の取引内容が複雑である場合や、税務申告に不安がある場合は、暗号資産の税務に詳しい税理士に相談することを強くお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、正確な申告ができ、安心してブロックチェーン送金を活用できるでしょう。

まとめ

ブロックチェーン国際送金で海外から報酬を受け取った場合も、他の方法と同様に日本国内で適切に税務申告を行う義務があります。特に暗号資産で受け取った場合は、受け取り時の日本円換算だけでなく、その後の暗号資産の取引についても損益計算と管理が必要となる点が異なります。

正確な帳簿付けと取引履歴の保管は、適切な税務申告のために非常に重要です。税金に関するルールを正しく理解し、必要であれば専門家の助けも借りながら、安心してブロックチェーン送金を利用していきましょう。

免責事項: 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務に関する助言ではありません。個別の税務に関する判断や手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。