国際送金にブロックチェーンを使う前に確認!国の規制と利用時の注意点
国際送金にブロックチェーンを使う前に確認!国の規制と利用時の注意点
国際送金の手数料や送金にかかる時間にお悩みの方は多いのではないでしょうか。ブロックチェーン技術を活用した国際送金は、これらの課題を解決する可能性を秘めており、近年注目されています。
しかし、新しい技術であるため、「本当に安全なの?」「手続きは難しくない?」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、お金に関することなので、「国の法律や規制はどうなっているの?」という点は気になるポイントかと思います。
このセクションでは、ブロックチェーン国際送金を利用する上で知っておくべき日本の主な国の規制について解説し、それを踏まえて安心して利用するための具体的な注意点をご紹介します。規制の存在を知ることは、より安全に、そして適切にサービスを選ぶために非常に重要です。
ブロックチェーン国際送金に関わる主な国の規制
ブロックチェーン技術を使った国際送金は、従来の銀行を通じた送金とは異なる仕組みで行われますが、いくつかの日本の法律や規制の対象となります。主なものをいくつかご紹介します。
資金決済法(暗号資産交換業)
ブロックチェーン国際送金サービスの中には、送金したい金額を暗号資産(仮想通貨)に換え、送金先で再び現地の法定通貨に換える、という仕組みを利用しているものがあります。このような、暗号資産と法定通貨を交換するサービスや、暗号資産の管理を行うサービスを提供している事業者は、「暗号資産交換業者」として、日本の資金決済法に基づき内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。
この法律によって、暗号資産交換業者には、お客様の資産と会社の資産を分けて管理すること(分別管理)や、セキュリティ対策、利用者保護のための情報提供などが義務付けられています。これは、私たちが安心してサービスを利用するための重要なルールです。登録を受けている事業者を選ぶことが、信頼性を判断する上で一つの目安となります。
外国為替及び外国貿易法(外為法)
国際送金は、その名の通り「外国為替」に関わる取引です。そのため、ブロックチェーンを使った送金であっても、外国為替及び外国貿易法(外為法)の対象となる場合があります。外為法は、日本の経済や平和、安全を守るために、国際的な取引を適切に管理することを目的としています。
個人が日常的な国際送金を行う上で、この外為法を意識する機会は少ないかもしれませんが、大口の送金や特定の目的での送金など、場合によっては届出や許可が必要となるケースが存在します。サービス提供者はこれらの法規制を遵守してサービスを提供していますので、通常利用においては、サービス提供者の案内に従っていれば問題ありません。
犯罪収益移転防止法(本人確認 KYC/AML)
マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防ぐため、金融機関や暗号資産交換業者などの特定の事業者には、お客様の本人確認を行うことが義務付けられています。これが「犯罪収益移転防止法」に基づく本人確認(KYC:Know Your Customer)です。
ブロックチェーン国際送金サービスを利用する際にも、運転免許証やマイナンバーカードなどの提出が求められるのはこのためです。これは、利用者が不正な取引に巻き込まれないようにするためでもあり、サービスの信頼性を高める上で不可欠な手続きです。AML(Anti-Money Laundering)はマネーロンダリング対策全般を指します。
税法
ブロックチェーン国際送金によって海外から報酬を受け取った場合、それが所得となるため、税法に基づき適切に申告を行う必要があります。受け取ったのが暗号資産であっても、それを日本円に換金したり、商品やサービスの支払いに使ったりした際に、その取引時点での差益が所得として課税対象となる可能性があります。
税金に関するルールは複雑であり、個々の状況によって判断が異なります。詳細は税理士などの専門家にご相談いただくことをお勧めしますが、少なくとも「ブロックチェーン送金で得た利益には税金がかかる可能性がある」という認識を持っておくことが重要です。(税金に関する詳細は、当サイトの他の記事「ブロックチェーン国際送金で受け取った報酬の税金はどうなる?知っておくべき基礎知識と注意点」でも解説していますので、そちらもご参照ください。)
規制がユーザーにどう影響するのか
これらの規制が存在することで、ブロックチェーン国際送金サービスの利用者は以下のような影響を受けます。
- 安全性の向上: 登録された信頼できるサービス提供者を選びやすくなります。分別管理やセキュリティ対策の義務付けは、利用者の資産保護につながります。
- 利用開始時の本人確認: サービスの利用を始める際に、必ず本人確認手続きが必要になります。少し手間には感じられるかもしれませんが、これは不正利用を防ぐための重要なステップです。
- 利用できるサービスの制限: 無登録の海外事業者などが提供するサービスは、日本の法律に基づいた保護が受けられない可能性があります。日本の法律を遵守している登録事業者を選ぶことが推奨されます。
- 送金に関するルール: サービスによっては、本人確認の状況や送金額、頻度によって利用制限が設けられている場合があります。これは、主に犯罪収益移転防止の観点からの措置です。
安心してブロックチェーン国際送金を利用するための具体的な注意点
国の規制があるからといって、ブロックチェーン国際送金のリスクがゼロになるわけではありません。しかし、規制の存在を理解し、以下の点に注意することで、より安全にサービスを利用することができます。
- 日本の暗号資産交換業者の登録を受けているサービスを選ぶ: 金融庁のウェブサイトなどで、登録業者リストを確認できます。登録業者は法律に基づいて運営されており、一定の信頼性があります。
- 本人確認手続きを正確に行う: サービス利用開始時に求められる本人確認は、自身の資産を守るためでもあります。指示に従って正確に手続きを行いましょう。
- 利用規約や重要事項説明をよく読む: サービスごとに手数料体系、送金上限額、利用できる国や通貨、トラブル時の対応などが異なります。理解した上で利用しましょう。
- 法改正などの最新情報を確認する: ブロックチェーンや暗号資産に関する規制は、今後も変更される可能性があります。利用しているサービスからの通知や、信頼できる情報源から最新情報を得るように心がけましょう。
- 税金について正しく理解し、必要に応じて申告する: 国際送金で得た所得は、原則として課税対象です。適切な税務処理を行うことは利用者の義務です。
今後の規制の動向と展望
ブロックチェーン技術は進化を続けており、各国の規制当局もその対応を進めています。日本では、国際的な議論(例えば、FATF:金融活動作業部会による基準策定など)も踏まえつつ、利用者保護と技術の健全な発展の両立を目指した議論が行われています。
今後、より利用しやすい環境が整備される可能性もありますが、同時に新たなルールが加わることも考えられます。常に最新の情報を確認し、ご自身の判断でサービスを選択・利用していくことが重要です。
まとめ
ブロックチェーン国際送金は、手数料や速度の面で魅力的な選択肢となりえます。しかし、新しい技術であるからこそ、その仕組みだけでなく、関連する国の法律や規制についても理解しておくことが大切です。
日本の資金決済法、外為法、犯罪収益移転防止法などの規制は、私たちがより安全にサービスを利用するための基盤となっています。信頼できる登録業者を選び、本人確認を適切に行い、利用規約や税金に関するルールを理解することで、安心してブロックチェーン国際送金を活用できるでしょう。
技術の進化とともに規制も変化していきますので、常に最新の情報に注意を払いながら、ご自身のニーズに合った賢い国際送金方法を選択してください。