ブロックチェーン国際送金で使うべき暗号資産はどれ?失敗しない選び方と特徴比較
はじめに:ブロックチェーン国際送金における暗号資産選びの重要性
海外への送金や海外からの報酬受け取りで、手数料や為替レートによるロスに悩まされている方は少なくないでしょう。ブロックチェーン技術を使った国際送金は、これらの課題を解決する可能性を秘めており、近年注目を集めています。
しかし、ブロックチェーン国際送金を利用するには、多くの場合「暗号資産(仮想通貨)」を使用する必要があります。「ビットコイン(BTC)」や「イーサリアム(ETH)」といった名前は聞いたことがあっても、国際送金に使うべき暗号資産がどれなのか、どう選べば良いのか、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
使用する暗号資産の種類によって、送金の手数料、速度、そして価値の変動リスクが大きく異なります。自分に合った暗号資産を選ぶことが、ブロックチェーン国際送金でメリットを最大限に享受し、リスクを避けるための鍵となります。
この記事では、ブロックチェーン国際送金に利用される代表的な暗号資産の種類と、それぞれの特徴を比較し、失敗しない暗号資産の選び方について分かりやすく解説します。
ブロックチェーン国際送金に向いている暗号資産の特徴
国際送金という特定の目的で暗号資産を選ぶ場合、考慮すべき主な特徴は以下の通りです。
- 手数料(ガス代)の安さ: ブロックチェーン上の取引には、ネットワーク手数料(一般的に「ガス代」や「送金手数料」と呼ばれる)がかかります。この手数料が安いほど、送金コストを抑えることができます。通貨やネットワークの混雑状況によって手数料は大きく変動します。
- 送金速度: 取引が承認され、相手に届くまでの速度も重要です。ビジネスの支払いなど、迅速な送金が必要な場合は、送金速度の速い暗号資産が有利です。
- 価格の安定性: 国際送金の際に、送金してから相手が受け取るまでの間に暗号資産の価格が大きく変動すると、受け取り金額が変わってしまうリスクがあります。価格変動リスクが少ない、あるいは安定した価値を持つ暗号資産は、このリスクを軽減できます。
- 流動性の高さ: 世界中の取引所で容易に換金できるかどうかも重要です。受け取った暗号資産を速やかに、希望する法定通貨に換金したい場合に流動性が低いと、時間がかかったり、不利なレートでしか換金できなかったりする可能性があります。
- 利用可能なサービス: 利用したいブロックチェーン送金サービスや暗号資産取引所が、目的の暗号資産に対応している必要があります。
国際送金におすすめの代表的な暗号資産
これらの特徴を踏まえ、国際送金によく利用される、あるいは利用が検討される代表的な暗号資産を紹介します。
1. ステーブルコイン(例:USDT, USDC)
- 特徴: 米ドルなどの法定通貨や金などの資産にペッグ(連動)するように設計された暗号資産です。価格が比較的安定しており、一般的な暗号資産のような大きな価格変動リスクが少ないのが最大の特徴です。
- 国際送金における利点:
- 価格変動リスクの抑制: 送金中や受け取り後の価格変動による損失リスクを抑えることができます。米ドルペッグのステーブルコインを使えば、米ドル建ての送金と同じような感覚で利用できます。
- 価値の把握が容易: 価格が安定しているため、送金・受取金額の日本円換算額を比較的容易に把握できます。
- 国際送金における注意点:
- 発行体の信頼性リスク(例:裏付け資産が十分にあるかなど)
- ステーブルコイン自体の規制動向
- 送金に使用するブロックチェーンネットワークによってガス代や速度が異なる(例:Ethereumネットワーク上のUSDTはガス代が高い傾向がある)
2. XRP (リップル)
- 特徴: 国際送金や決済に特化して開発された暗号資産およびそのネットワーク(RippleNet)です。低い手数料と速い送金速度を強みとしています。
- 国際送金における利点:
- 圧倒的な送金速度: 他の主要な暗号資産と比較して非常に速い速度で送金が完了します。
- 低い手数料: 取引手数料が非常に安価です。
- 国際送金ネットワークとの連携: 多くの金融機関や決済プロバイダーとの連携を目指しており、国際送金インフラとしての側面を持ちます。
- 国際送金における注意点:
- 特定の企業(Ripple社)への依存度が高いという指摘がある。
- 米国の規制当局との間の訴訟動向など、法的な不確実性が影響する可能性がある。
- 価格変動リスクは一般的な暗号資産と同様に存在します。
3. LTC (ライトコイン)
- 特徴: ビットコインのコードをベースに開発された暗号資産で、「ビットコインが金ならライトコインは銀」と称されることもあります。ビットコインよりもブロック生成速度が速く、発行上限量が多いのが特徴です。
- 国際送金における利点:
- ビットコインより速い送金速度: ビットコインの約4倍の速度で取引が承認されます。
- 比較的安い手数料: ビットコインと比較して手数料が安い傾向があります。
- 高い流動性: 主要な取引所で広く扱われています。
- 国際送金における注意点:
- 価格変動リスクは存在します。
4. BTC (ビットコイン) / ETH (イーサリアム)
- 特徴: 暗号資産の中で最も有名で、市場規模も大きい通貨です。BTCは「デジタルゴールド」とも呼ばれ価値の保存手段としても注目され、ETHはブロックチェーン上で様々なアプリケーションを動かす基盤として利用されます。
- 国際送金における利点:
- 圧倒的な流動性: ほとんど全ての暗号資産取引所で扱われており、換金が非常に容易です。
- 高い信頼性・知名度: 最も歴史があり、広く認知されています。
- 国際送金における注意点:
- 送金手数料が高い傾向: 特にネットワークが混雑している時は、手数料が非常に高くなることがあります。
- 送金速度が比較的遅い: 他の送金特化型通貨に比べて送金完了に時間がかかります。
- 価格変動リスク: 他のアルトコインよりは比較的安定しているとされることもありますが、大きな価格変動リスクは伴います。イーサリアムはネットワークのアップグレード状況によって手数料や速度が変動する可能性があります。
目的に合わせた暗号資産の選び方
上記の特徴を踏まえ、あなたの国際送金における目的に合わせて最適な暗号資産を選びましょう。
- 「価格変動リスクを極力避けたい」「米ドル建てで金額を確定させたい」: ステーブルコイン(USDT, USDCなど)が最も適しています。為替変動によるロスや、送金中の価格下落リスクを回避できます。ただし、送金に使うネットワークのガス代や信頼性は確認しましょう。
- 「手数料を安く抑えたい」「送金速度を最優先したい」: XRPやLTCが有力な候補となります。少額を頻繁に送金する場合や、急ぎの送金にメリットがあります。ただし、これらの通貨も価格変動リスクはあります。
- 「とにかく換金しやすいものが良い」「多くの場所で使える通貨が良い」: BTCやETHも選択肢に入ります。ただし、手数料や送金速度の面で劣る可能性があるため、送金額や頻度に応じて他の通貨と比較検討が必要です。
複数の目的がある場合や、送金先・利用するサービスによっては、最適な通貨が異なることもあります。例えば、あるサービスではステーブルコインの取り扱いがない、別のサービスではXRPの送金が最安値、といったケースも考えられます。
暗号資産選びで失敗しないための注意点
最後に、暗号資産を選ぶ際に共通して注意すべき点を挙げます。
- 利用するサービス(取引所やウォレット)が対応しているか確認する: どんなに最適な暗号資産でも、使いたいサービスで取り扱っていなければ利用できません。
- 送金先の国の規制や対応状況を確認する: 国によっては、特定の暗号資産の利用が制限されていたり、換金が難しかったりする場合があります。
- 手数料は常に変動する可能性があることを理解する: 特にガス代はネットワークの混雑状況によって大きく変動します。送金直前に手数料を確認することが重要です。
- 価格変動リスクを理解する: ステーブルコイン以外の暗号資産は、日本円や他の法定通貨に対して常に価格が変動しています。このリスクを十分に理解した上で利用しましょう。
- 少額から試してみる: 初めて使う暗号資産やサービスの場合、まずは少額でテスト送金を行い、手順や手数料、速度、受け取り側の換金方法などを確認することをおすすめします。
まとめ:あなたにとって最適な暗号資産を見つけるために
ブロックチェーン国際送金は、従来の銀行送金にはない多くの利便性を提供しますが、利用する暗号資産の選択は非常に重要です。価格変動リスクを抑えたいならステーブルコイン、手数料と速度を重視するならXRPやLTCなど、ご自身の目的や送金内容に合わせて最適な暗号資産は異なります。
この記事で紹介した情報を参考に、各暗号資産の特徴を理解し、利用したいサービスでどの通貨が使えるか、手数料はどのくらいかなどを比較検討してください。そして、可能であれば少額から実際に使ってみることで、ブロックチェーン国際送金をより安心して、そしてお得に利用できるようになるでしょう。
最適な暗号資産選びを通して、国際送金の課題を解決し、より快適な送金ライフを実現してください。