【徹底比較】ブロックチェーン国際送金と銀行送金:具体的な手数料・コストでどっちがお得?
はじめに:国際送金の手数料、本当に納得していますか?
海外とのやり取りが多いフリーランスの方や、ご家族への送金で国際送金を利用されている方にとって、手数料や為替レートは常に気になる点ではないでしょうか。「なぜこんなに手数料が高いのだろう?」「為替レートに上乗せされている分が気になる」と感じている方も多いかと思います。
近年、ブロックチェーン技術を活用した国際送金が注目を集めています。銀行送金に比べて手数料が劇的に安くなると言われることもありますが、実際のところはどうなのでしょうか?本当にブロックチェーン送金はお得なのでしょうか?
本記事では、ブロックチェーン国際送金と銀行送金にかかる具体的なコストを徹底的に比較し、それぞれの仕組みと、あなたの状況に合わせてどちらがお得かを見極めるためのポイントを解説します。
ブロックチェーン国際送金にかかる手数料・コスト
ブロックチェーン国際送金は、従来の銀行システムを介さず、ブロックチェーン上で暗号資産(仮想通貨)を利用して価値を移動させる仕組みです。この仕組みのおかげで、中間コストが削減され、手数料が安くなる可能性があります。
ブロックチェーン国際送金にかかる主なコストは以下の通りです。
- サービス利用手数料: ブロックチェーン送金サービス事業者に支払う手数料です。サービスによって無料の場合もあれば、送金額や利用回数に応じてかかる場合もあります。
- ネットワーク手数料(ガス代): ブロックチェーン上で取引を行う際に発生する手数料です。送金する暗号資産の種類やネットワークの混雑状況によって変動します。サービスの多くは、この手数料をサービス利用料に含めているか、ユーザーからは見えにくい形で処理しています。
- 為替スプレッド: 暗号資産と法定通貨(円、ドルなど)を両替する際に発生するコストです。購入時と売却時のレート差(スプレッド)が実質的なコストとなります。送金元と送金先で異なる法定通貨を使う場合、この両替が複数回発生することがあります。
なぜ銀行より安い傾向があるのか?
ブロックチェーン送金が銀行送金より安い傾向にあるのは、主に以下の理由からです。
- コルレス銀行(中継銀行)が不要: 銀行送金では複数のコルレス銀行を介することが多く、その都度手数料が発生します。ブロックチェーン送金は直接価値を移動させるため、これらの仲介手数料がかかりません。
- 24時間365日稼働: 銀行のように営業時間や休日に左右されず、いつでも処理が可能です。これにより、迅速な送金が可能となり、事務処理コストの削減につながります。
銀行国際送金にかかる手数料・コスト
私たちが一般的に利用する銀行の国際送金は、SWIFT(国際銀行間通信協会)などのネットワークを利用して銀行間でお金をやり取りする仕組みです。この仕組みでは、送金銀行から受取銀行まで、複数の銀行を経由するのが一般的です。
銀行国際送金にかかる主なコストは以下の通りです。
- 送金手数料: 利用する銀行に支払う基本的な手数料です。窓口かオンラインか、送金先の国などによって異なります。
- コルレス手数料(中継銀行手数料): 送金銀行と受取銀行の間で資金を中継する銀行(コルレス銀行)に支払われる手数料です。送金経路によって経由する銀行の数や手数料額が異なり、送金時には正確な金額が分からないことも多い「見えないコスト」です。
- リフティングチャージ: 外貨を外貨のまま送金・受け取りする場合に、円を介さないために発生する手数料です。
- 為替手数料(為替スプレッド): 外貨と日本円を両替する際に発生するコストです。銀行が提示する為替レートには、市場実勢レートに一定の手数料(スプレッド)が上乗せされています。このスプレッドは銀行によって異なり、大きなコストとなり得ます。
銀行送金は、これらの手数料が複数組み合わさるため、総額が分かりにくく、特に少額の送金ではコストの割合が高くなる傾向があります。
具体的なコスト比較シミュレーション(例)
では、具体的な金額を例に、ブロックチェーン送金と銀行送金でどれくらいのコストが変わる可能性があるのかを見てみましょう。ここでは、一般的な傾向を示すための例であり、実際のコストは利用するサービス、為替レート、送金タイミングなどによって大きく変動することを予めご了承ください。
例:日本からアメリカへ1,000ドル(約15万円※)を送金する場合 (※1ドル=150円と仮定)
| コスト項目 | 銀行国際送金(例) | ブロックチェーン国際送金(例) | 備考 | | :----------------- | :------------------------ | :-------------------------------- | :----------------------------------------- | | 送金手数料 | 2,000円 ~ 7,000円程度 | 数十円 ~ 数百円、あるいは無料 | サービスによる。ネットワーク手数料含む場合も。 | | コルレス手数料 | 0円 ~ 5,000円程度 | 0円 | 経路による。受取人負担の場合も。 | | 為替手数料/スプレッド | 数百円 ~ 数千円程度(レートに上乗せ) | 数百円 ~ 数千円程度(暗号資産両替時に発生) | 利用する銀行・サービス・暗号資産による。 | | 合計コスト(目安) | 3,000円 ~ 12,000円程度 | 数百円 ~ 数千円程度 | コルレス手数料が変動しやすく読みにくい。 |
例:日本からイギリスへ500ポンド(約9.5万円※)を送金する場合 (※1ポンド=190円と仮定)
| コスト項目 | 銀行国際送金(例) | ブロックチェーン国際送金(例) | 備考 | | :----------------- | :------------------------ | :-------------------------------- | :----------------------------------------- | | 送金手数料 | 2,000円 ~ 6,000円程度 | 数十円 ~ 数百円、あるいは無料 | サービスによる。ネットワーク手数料含む場合も。 | | コルレス手数料 | 0円 ~ 4,000円程度 | 0円 | 経路による。受取人負担の場合も。 | | 為替手数料/スプレッド | 数百円 ~ 数千円程度(レートに上乗せ) | 数百円 ~ 数千円程度(暗号資産両替時に発生) | 利用する銀行・サービス・暗号資産による。 | | 合計コスト(目安) | 2,000円 ~ 10,000円程度 | 数百円 ~ 数千円程度 | 少額でも最低手数料がかかる場合が多い。 |
この例からわかるように、特にコルレス手数料が発生する場合や為替スプレッドが大きい場合、銀行送金はコストが高額になりがちです。一方、ブロックチェーン送金は、サービス手数料や為替スプレッドはかかりますが、コルレス手数料がないため、多くの場合で銀行送金よりも総コストを抑えられる可能性があります。特に少額を送金する場合や、コルレス手数料が見えにくい送金では、ブロックチェーン送金のコストメリットが顕著になる傾向があります。
コスト以外で比較すべき点
国際送金の方法を選ぶ際には、コストだけでなく以下の点も考慮することが重要です。
- 送金速度: ブロックチェーン送金は、ネットワーク状況によりますが、多くの場合で銀行送金よりも迅速に送金が完了します。銀行送金は営業時間や中継銀行の処理時間によって数日かかることがあります。
- 手続きの簡便さ: 銀行送金は窓口での手続きや複雑な書類が必要な場合があります。ブロックチェーン送金サービスはオンラインで完結することが多く、比較的簡単な手続きで送金できる場合があります。ただし、事前の登録やウォレットの準備、暗号資産の購入などの手間は発生します。
- 安全性と信頼性: 銀行送金は長年の実績があり、法的な保護も手厚いですが、経路によっては情報漏洩のリスクもゼロではありません。ブロックチェーン送金は技術的な安全性は高いですが、利用するサービスの信頼性、自身のウォレット管理、秘密鍵の管理などが重要になります。また、暗号資産の価格変動リスクも考慮する必要があります。
- 利用可能な通貨・国: 銀行送金は多くの法定通貨に対応していますが、ブロックチェーン送金サービスは対応している暗号資産や送金可能な国が限られる場合があります。ステーブルコインを利用することで為替変動リスクを抑えられますが、対応しているサービスはまだ多くありません。
- 送金額による違い: 高額送金の場合は、銀行によってはブロックチェーン送金サービスよりも有利なレートを提供することもあります。逆に、少額の場合はブロックチェーン送金の方が手数料の割合が圧倒的に低くなることが多いです。
結局どっちがお得?あなたに最適な送金方法の選び方
ブロックチェーン国際送金と銀行送金、どちらがお得かは、あなたの送金の状況によって異なります。
- コスト最優先で、ある程度の技術的な準備やリスク許容度がある場合: 少額の頻繁な送金や、対応している国・通貨への送金であれば、ブロックチェーン国際送金がコスト面で有利になる可能性が高いです。ただし、利用するサービスや為替変動(特にステーブルコイン以外を使う場合)には注意が必要です。
- 手続きの安心感や法的な保護を重視する場合: 銀行国際送金が適しています。特に高額送金や、送金先の受取人が暗号資産に不慣れな場合は、銀行送金の方がスムーズなことが多いでしょう。ただし、隠れた手数料も含めたトータルコストを事前にしっかり確認することが重要です。
- スピードを重視する場合: ブロックチェーン送金は、銀行の営業時間に関係なく迅速に処理されるため、急ぎの送金に適している場合があります。
- 為替変動リスクを避けたい場合: ステーブルコインに対応したブロックチェーン送金サービスを探すか、銀行送金で主要通貨を利用するのが一般的です。
ご自身の送金額、頻度、送金先、そして何を最も重視するか(コスト、スピード、安心感、手軽さなど)を明確にし、複数の銀行やブロックチェーン送金サービスを比較検討することが、最もお得で最適な方法を見つける鍵となります。
ブロックチェーン送金を利用する上での注意点・リスク
ブロックチェーン送金はメリットが多い一方で、知っておくべきリスクや注意点も存在します。
- 価格変動リスク: ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産で送金する場合、送金中や両替するまでの間に価格が大きく変動する可能性があります。これにより、受け取る側の金額が想定と異なってしまうリスクがあります。ステーブルコインを利用することでこのリスクは低減できますが、対応しているサービスや種類は限られます。
- セキュリティリスク: 利用するサービスのアカウント情報漏洩や、自身のウォレットの秘密鍵の管理ミスによる資産喪失のリスクがあります。信頼できるサービスを選び、二段階認証の設定などセキュリティ対策を徹底することが不可欠です。
- 操作ミスリスク: ブロックチェーン送金は、送金アドレスを間違えると資金が失われ、原則として取り戻すことができません。アドレスのコピペや、少額でのテスト送金など、細心の注意が必要です。
- 規制リスク: 暗号資産やブロックチェーン技術に関する規制は世界中で変化しています。利用するサービスや送金先の国・地域の規制を確認しておく必要があります。
- サービスの信頼性: 新しいサービスも多いため、実績や信頼性を十分に確認してから利用を開始することが重要です。
これらのリスクを理解し、適切に対策を講じることで、より安全にブロックチェーン送金のメリットを享受できます。
まとめ:あなたの国際送金を最適化するために
国際送金にかかる手数料やコストは、送金方法によって大きく異なります。特に、銀行送金における見えにくい手数料や為替スプレッドは、知らず知らずのうちに負担になっていることがあります。
ブロックチェーン国際送金は、中間コストを削減できることから、特に少額送金や特定の条件下で銀行送金よりも大幅にコストを抑えられる可能性があります。しかし、暗号資産の価格変動リスクや自身のセキュリティ管理の重要性など、銀行送金とは異なる注意点も存在します。
最適な送金方法を見つけるためには、以下のステップを試してみてください。
- 自身の送金ニーズを把握する: 誰に、いくらを、どのくらいの頻度で、どの国へ送金するかを明確にします。
- 複数の銀行や送金サービスのコスト構造を調べる: 銀行のウェブサイトや窓口で手数料を確認し、ブロックチェーン送金サービスの情報も収集します。表示されている手数料だけでなく、為替レートに含まれるコスト(スプレッド)や、コルレス手数料の有無・目安も確認しましょう。
- コスト以外の要素(速度、手続き、安全性など)も比較する: それぞれの方法のメリット・デメリットを総合的に評価します。
- 少額で試してみる(可能であれば): ブロックチェーン送金サービスの場合、まずは少額で送金プロセスを試してみると、実際のコストや手続きの流れを把握できます。
ブロックチェーン技術は国際送金に新たな選択肢をもたらし、コスト削減やスピードアップの可能性を秘めています。ご自身の状況に合わせて賢く選択することで、国際送金をもっと効率的かつ経済的に行うことができるはずです。